激情に燃える紅玉(庭球CP有り)

□降誕祭(ノエル)に向けて
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銀髪の少年が、寝室の扉をせわしく叩く。
「オサムちゃん!はよ起き、仕事やで。」
「さむ…あと5分」
「アカン、すぐ起きる!」
「ぐー…」
銀髪の少年…蔵ノ介が急き立てるのにも関わらず、オサムと呼ばれた青年は再び夢の中に戻ってしまった。
「全く…冬眠するサンタなんて聞いた事ないわ。」
そんなことで全世界の子供に夢を与えれるんか…蔵ノ介は眉間を抑えて悩んだ。が、すぐにいい方法を思い付いた。

寝台に上がって、オサムの顔を窺う。
「よーし、そのまんま動くなよ…」
首にかかる髪を慎重に掻き揚げると、雪白の肌が覗いた。
「しかし、白いな…」
そこに薔薇のような唇をあてがい、ゆっくりと舐めた。

「ひっっ!!?」
思惑通りに、驚いて飛び起きた。全くこの人は相変わらずだ。


朝食後の珈琲を啜りながら、オサムは不平をこぼした。
「全く、朝から盛んな言うとるやろ。」
「しゃあないやろ。ちっとも起きへんオサムちゃんが悪い。」
蔵ノ介も負けていない。
「小さい頃はあんなに可愛かったんに、いつからこんななったんやろな、このトナカイは…」
「さぁ、オサムちゃんがだらしなくて隙だらけでエロすぎるからやない?」
「けだもの…」
「今年のプディングはプラム入りがええなー」
「!?(精一杯の罵りが流された!?)」




「ほら速く!はよせな聖夜が終わってまうで!」
「分かっとるがな!」
雪避けのローブを羽織りながら、バタバタと外へ出た。
橇に積まれた袋には、全世界の子供達の夢と期待が詰まっている。何としてでも無事に届けなければいけない。
「オサムちゃん、俺へのプレゼントは?」
「真面目に働いてくれたらな。」
「嫌。今」
「ったく…」
出発が遅れるのだけは避けたかったので、手早く済ませた。
「ちゅーだけ?」
「続きは帰ったら。」
オサムがすげなく言えば、極上の笑みで応える相棒。
「さ、こっからはサンタとトナカイの関係やで。」
オサムがポケットから小瓶を出して中身を蔵ノ介の頭にかけると、少年は銀灰の毛皮を纏った美しいトナカイに変わった。星の粉である。

「行くでぇ!!」
うら若きサンタが鞭を当てると、トナカイはゆっくりと走り出した。
寒さで沈んだ子供達を笑顔で暖める為に…


《END》
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