激情に燃える紅玉(庭球CP有り)

□Trick=Treat
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キッチンの時計を見やると、午後は8時4分。
そろそろヤツが来る頃だ。


コンコン…

ガチャ☆

「Trick or Treat!」

「ひいぃぃ!!」
目の前にいたのは、黒のフードを被り髑髏の仮面を着けた、愛する生徒。

「もう、オサムちゃん。俺やて」
彼はクスクス笑いながら仮面を外し、穏やかに微笑む。
「なんや白石か…まぁ、知っとったけど…。やばい。マジで一瞬デス●ート見えた…。」
「せやからごめんって。だって…」
俺の怖がる顔が見たかったとか言うんやろ。このドS…

とにかく白石を家に上げた。
「紅茶も沸いたし、あとは盛り付けだけやで。」
白石を座らせると、キッチンへ行きオーブンから中身を取り出した。
「タルトかー。オサムちゃん、じょうず〜Vv」
白石は目を輝かせながら、かぼちゃのタルトに見入っていた。
食らい着こうと構える白石を抑えて、冷凍庫からバニラアイスを出す。
ディッシャーで掬って、切り分けた熱々のタルトに丸いアイスを落とすと、えも言われぬ香りが部屋を満たした。


「お前少しは味わえや。」
白石は意外な程の食欲で、ぱくぱく食べ進めていく。焼肉28皿を平らげたという話は、やはり本当らしい。
まぁ、作る側としては嬉しい限りやけど、もう少し色々考えながら食ってくれてもええやん?
「オサムちゃん、紅茶だけでええの?腹空いてへん?」
「あ、ええからお前食べ。」

なんや。ちゃんと考えててくれた…
ありがと。大好きやで、白石…


楽しいお茶会もついに終わり…
白石が口を開いた。
「なぁオサムちゃん。おいしいタルトのお礼に、俺がええ事したるーVV」
「せやな。皿洗って。」
「いや、そーやなくて…」
「ほなら、風呂淹れてきて。」

「もうええわ…。色々おおきにな…オサムちゃん。」

え…しまった。いじめすぎたか…?

「待ちや!白石!」

慌てて後を追い、縋りつこうとした。が…
「っわ!ちょ…降ろせ、降ろせや!」
前にいたはずの白石が恐ろしい速さで俺の背後に回り込み、俺を抱き上げた。
「誰が『もう帰る』なんて言うたん?」

やっぱりな、このドS…
結局そのままベッドに連行された。
「その代わり、皿洗って、ついでに洗濯もしてけや?」
「はいはいv」

夜はまだまだこれからだ。
焼きたてのお菓子なんかよりももっと熱くて、甘い夜…。


《END》
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