水晶の群生地(庭球CP無し)

□帰り道
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ある朝、謙也が顔に絆創膏を貼り付けて部活に来た。
「蔵、おはよう!」
「おい謙也、どないしたんや!?」
爽やかに挨拶をしても、痛々しい顔は隠せない。
「あぁ、これか…。昨日の帰りにちょっと絡まれて、このザマや。」
「どこでやられた?」
「屯堀の近く。」
「他に何かされたか?例えば金盗られたり、服脱がされたりとか…」
「いや、ただボコられただけや。」

俺の大事な親友を傷物にしよって……
絶対許さへんわ。引きずり出して落とし前つけさせたる。

「よし分かった。帰りは俺も付き合うさかいな。待っとれや。」
「話は聞かせていただきました。俺も行きます。」
どこに隠れていたのか、財前が団子の串を必殺仕事人よろしく構えて顔を出した。
「ああ、構わんけど無理はすなや。」
「はーい」

謙也の話によると、相手の制服はこの近くの高校の物であるらしい。
俺はその日中、真面目に授業を聞きつつ謙也を如何にして守るかの対策を練るという神的所業をやってのけた。
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