護り石の赤鉄鉱(テニス以外)

□僕がいなくても君は幸せですか?
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地元に帰ってくるのは、何年ぶりだろうか……
高校時代から交際を続けてこの度妻となる人が、『自分の育った街で、お世話になった人達に祝ってもらいたいから…』と言った為、宇佐和成はJR岐阜駅に降り立った。
「せんぱ…律との待ち合わせ時間まではまだあるから…」
交際は決して短くはないのに、どうしても癖で『先輩』と言いそうになる。
もっとも、彼の方が一歳年下なのだから無理もないのだが。
「久しぶりに、自然と触れ合ってくるかな…」
そう呟いて、清水緑地の方向へ足を向けた。


アニメイト岐阜店のすぐ横に流れる清水川を擁するその公園は、豊かな自然と多様な生物を育む市民に人気のスポットである。
宇佐が川の中腹にかかる天神橋を歩いていると、懐かしい下宿の面々が浮かんできた。
『住子さんは元気かな』とか、『麻弓さんまた呑んだくれてたら嫌だな』などとぼんやり考えていたら、手摺に身を預けて川底を眺めている人影を見つけた。
服装がやや垢抜けてはいるが……

肩まで伸ばした色素の薄い髪
長めの前髪からちらりと覗く貴石の瞳
猫背がかっているが決して悪くはない姿勢

「シロさん…いえ、城崎志弦さん……ですよね?」
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