BT短編2
□WHAT?
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「みんな、お早う!」
6月の曇り空も吹き飛ばす勢いで、星野英彦は期待を胸に爽やかにドアを開けた。
その先には、昨日と同じく「暇だから」と仲良くカードゲームをしているメンバーが居るはずだった。…そう、居るはずで。
「‥あ、れ?」
居たには居たが、メンバーは誰一人カードを持ってはいなかった。
「おーオハヨ、ヒデ」
「ヒデも食うか?」
別にカードに対して特に思い入れもない為、それには疑問を持たなかったが、こんな朝から全員が"別のもの"を手にしている。
しかもやたら甘そうな…
「…なんで和菓子?」
机の上というか部屋の中に山ほどの和菓子の箱。
何故か殆どが綺麗にラッピングされているが、幾つかは早々とメンバーの手によって破かれたりしている。
「ファンからのプレゼント」
「あー今井くんそれ俺の羊羹!」
羊羹を大胆にも丸かじりしながら現れた今井にユータが噛み付くのをぽかんと見つめながら、とりあえずよくわからないまま英彦は敦司の横に腰を下ろした。
「で、あっちゃんは何食べてるの?」
「‥ぉはぎ」
モクモクとあんこを口に運ぶ敦司を見ながら(不思議な光景だなぁ‥)と、英彦は未だ残っているおはぎの箱に手を伸ばした。
―パシィ!
「痛ぁ!」
「‥俺の」
どうやらアニィの「食うか?」はまだ手を付けていないもの限定らしい。
敦司に「ごめん」と告げると、とりあえず手近な箱に手を伸ばした。
「そのきんつばアニィの」
「え?」
ヒョイッ
「その干菓子はユータ」
「え?」
ヒョイッ
「そのお饅頭は今井の」
「え?」
ヒョイッ
「あとそれも、俺の」
「…」
片っ端から、メンバーに取られている。
せっかくあるんだから一個くらいは食べたいのに、という思いから、とうとう英彦は声を荒げた。
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