笑え。

□二章
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「おまえ、曲者か」

腕を取られ、動きを封じられる

『いたたたた』

「答えろ!何者だ!返答によってはその命ないと思え」

『まっ、まって!みつ、なりさん!痛い痛い痛い』

より肩を入れられ痛くなる

「あの方に何の用だ!」

『う、ぅぅ…痛い、痛いよぉぉお』

「泣いても無駄ですぜ、この島左近そんな罠には引っかかりませんよ」

『うわぁぁぁぁーん!!!』

「え?あ、そんな泣く?」

『痛いよっ、痛い、うわぁぁぁぁーん』

「なんて下品な泣き方なんだ」


困惑をしている島左近なんて構いもせずわんわんと泣く名無し

でも流石、島左近。
困惑してもその手を緩めようとはしない









「貴様、何度煩いといえば気が済むのだ」

「殿、怪しい奴を捕まえました」

「左近。怪しいのは否定しないが、離してやれ」

「あれ、いいんですか?」

「構わん。そいつは今から此処に居る事となった」

「あちゃー、それはすまなかったな嬢ちゃん」


腕の力を緩め、泣き続ける名無しに謝るが
余程痛かったのか、まだ泣き続けている


「おい、泣き止まぬか。鬱陶しい」

『みづなりざん…』

三成をとらえた名無しは
左近から離れ三成に抱きついた

「なっ、」

すぐに"離れろ"と言うため
肩を掴んだが…それは出来なかった






泣いているからか。
怖かったからか。

それは分からないが







驚くほどに震えていた








「はぁ…。要らぬものを拾った」

「殿が拾ったんですか?」

「まぁ、そうなるか…」


三成は考えるのも面倒くさくなり
泣き止むまで待つことにした









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