感情のジグソーパズル。

叶えてダァリン。
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「千代姉ちゃん眠そうだね」

「ん…たべる……」


フォークを持ちながらうとうとする少女を隣で心配そうにチラチラ見ているのは彼女の保護者グウェンダルだ。
昨夜、トイレだと言って戻って来ないで有利の部屋で寝たと聞いて不満げだが、そんな事より彼女の体調が気になった。
こちらとあちらでの時間差は計り知れない。
昨日はきゃっきゃと夜中まで遊んで居たからつかれているのか?いや、寝起きがあんなに悪い事は無かった。等考えを巡らせていた。
彼の推測は半分正しかった。彼女はこちらであまり長く起きてはいられない。そして、此処は"彼女"には居づらい場所であり、彼女にとって唯一有利や勝利の傍だけ、安心していられる場所であるからだった。



大きくなれば、こちらに来ても慣れが生じて支障は無くなるが、まだ幼い彼女にとっては負担の他にならなかった。



「千代」


彼が呼ぶと閉じかけた瞼を開き、寝てないよ!と言う。


「…千代昼には帰るからな」


「え?やだ!まだ居る!」

「ダメだ。また、陛下と勝利を家に呼べば良いだろ」

「やだやだやだ!千代居る!帰らない!」

「我が儘を言うな…」




顔を真っ赤にして涙を浮かべる。


「お父さんのケチ!ケチっ」



そう叫ぶとむしゃむしゃとご飯を頬張る。その姿を見ながら自分も箸を進める。


子供のままでは居られない子供と子供になれない大人。
壁は言葉で積み上げ、いつしか後悔にかわり、壊せなくなる。
その日を堺に少しずつぎくしゃくし始めた。
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