感情のジグソーパズル。

私の名前はありません。
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「グウェン、行かなくて良いのかい?」


「眞王陛下が行くんだ、私は生憎仕事が山積みだ。お前達で行って来ると良い


「グウェン……解ったよ」









白いカバーの白い本。
それに印されていた。


それは『再生』に関する事柄だった。その意味はわからなかった。
 千代の母、女王陛下に条件つきで頂いた本だ。
その条件とは…聖霊に見えなくするという事だった。


私は見えない。

千代には…それでも…。

可能性に賭けてみたかった。
そんなエゴで…してもよいことではない。だが…


生きていて欲しかった。


これもまたエゴだろう。



そして渡されたのが『晴天白日の聖書』その本に印されていたのは。再生。水、火、土、風、空、雨、全ての再生の方法だった。
あまりに胡散臭い理論だったが、それもそのはずだ。
これは魔族の使い書ではない。
あくまでも聖霊の書だからだ。

どんなに力があろうとも、これは女王陛下…そして代々女王陛下の娘として育てられる、白い聖霊天使しか使えないものだった。



そもそも白い聖霊天使とは、純潔を意味していて、汚れ無き翼を象徴として多くに慕われると印されていた。確かに彼女はこちらでも多くのものに慕われていただろう。それが特徴というわけだ。



しかし、それは……白であるから。白がもし咎を犯せばそれは地上の汚れ、罰則は厳しく、死罪して償わなければならない。純潔の汚れは消えることはない、その純潔自体を消すしか無いのだ。それが世界の為、地上の為、六道の為。循環を乱さない為だと、記されていた。


そしてその書に印されていた再生とは…聖霊天使の輪廻の方法だった。






それには『死』と『純潔』が必要だった。


死とはゼロ。
ゼロとは白。
白とは死。
白とは他人。



他人が殺すしかなかった。


鞘、柄、鍔、全て白の剣で…






彼女を殺し、もう一度女王陛下の懐の還し転生するしか無かった。




それが生きるすべ。




消えてしまう聖霊天使は転生することは無い。



そう、聞いた。






今日で100日目。



今日は聖霊天使が誕生する日。

女王陛下にお礼にと招待をされていた。なんのお礼だと思うのは私だけだ。
女王陛下にしてみてば、愛娘が消えず、転生出来るほうが何倍も幸せなんだろう。私だってそうだ。


だが…約束は約束だ…




千代に私の姿を見えることはない。









「か、かかかかかかっ閣下!!!!!しっしししつれ…しし」


「入れ、用はなんだ?」


「あ、赤子が馬屋に置かれていたであります!!」








もし、あの幸せな時間が戻るなら…もう一度…



そう…もう一度だけ……









枯れた涙を零そう。
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