感情のジグソーパズル。

困惑する親子。
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千代が帰ってきた。






少し大人びて…


だけど…豊かな表情を見る事は出来なかったんだ。










フォンカーベルに入り浸りあまり戻らなくなった。
ましてや、アニシナが来ても千代は全く寄り付かなかった。



千代の開発商品はよく売れていた。







そのサンプルは手元にある。









アニシナが送ってきたメッセージ動画には眼鏡をかけ少し照れ臭く困ったように映る千代。



『千代、笑いなさい』


『姉様…急に…ってまたですか』

『またとは何ですか。貴女が笑わないからです。あ、千代その書類は私のですよ』


『姉様、私の書類と混ざってるじゃないですか…あぁこれは有利へのだわ…コッチはグウェンダル閣下のだし…もう!姉様!』


『千代…少しは大雑把になりなさい。貴女はいつもそうして…』


『姉様は大雑把過ぎです!』


『千代…はぁ』


『もぅ…あ、姉様!良い香りの紅茶が来ましたよ!ティータイムにいれますね』


『えぇ、お願いしますね』


『はいっ』






幸せそうに笑う。
昔と何一つ変わらず…ただ…本心からではない。アニシナの為に。


『それ、どうするんですか?』

『ふふふっ聞きたいですか?』

『質問を質問で返さないでください』

『あ、そういえば明後日は結局どうするんです?』


首を傾げる千代。


アニシナが机にカメラを置いたのか音しか聞こえなくなる。





『え?…あぁっ…うそ!?』


『貴女…忘れてましたね…』

『すみません…あぁどうしましょう…ドレスも靴も……』


『参加…するつもり…なのですか?』


『え?は、い…ダメでしたか?』

『なら、向こうに何故鳩を飛ばさないのです』

『ああぁっ』

『はぁ……連絡をして、ゆっくりお風呂に浸かって来なさい』


『はいっ先に失礼します』


『まったく、あの娘は夢中になるとすぐ…あら?まだ電源が……』





ブツッと音声も消え、ふとカレンダーを見る。
今日は何かあったか?
と思い睨めっこをしていると、ドアを叩かれ返事をする。

そこにはグリエがニコニコと至極機嫌が良さそうだ。



「閣下、陛下が……あれ?まだ準備なさってないんですか?」


「準備?」



「っ!…閣下……今日は春祭ですよ」








すっかり忘れていた。

春祭とはユーリが言い出し去年から始まったお祭りだ。
春の訪れに感謝だとか言い上を集めて祝ったら社交パーティーみたいなモノになってしまったんだ。
あの頃は千代には留守番をさせていたから…
そうか…今年は…



感傷に更けてる場合ではない。

と気合いを入れ直した。
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