感情のジグソーパズル。

できるコト。できないコト。
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「ぐえーん早く〜早くっ」


「まて!千代」





大学、という処に来た。だけど…この場所は始めてきたのに初めての気がしなかった。知っていた。この場所、何が何処にあるか。
気持ち悪い感覚で酔ったような吐き気になる。


立ち止まりぐっ胸元を掴む。

後ろからグウェンが来てるのが解り、早くーっと手を振る。

しかし…







「グウェンダルさんよ!」
「あら、本当!」
「きゃぁっ」
「ちょっと!見えないわ」
「やだ、今日はなんか服カッコイイ」
「あ、あの…教室まで一緒に…」
「それなら私と!」
「それより今日の放課後私と一緒にデ…」
「わぁぁっもう、抜け駆け?狡いわ」







「すまないが…連れが…」






え?と言う顔をしてこっちを一斉に見て、再び黄色い悲鳴の嵐。

泣きそうな顔でグウェンダルを見て、彼女は俯いて小さく照れたように顔をあげ、不器用な笑顔と小さな手を振って走り去る。



気持ち悪い知らない知っている記憶を辿って走り出す。




「こっちを…みぎ……みっつめの…きょうしつ…あ。あった」





この時間なら此処のきょうしつに居る!


「しょーりーっ!!きたよっ!」





教室の前から入って行くが見当たらない。
というか、彼女の身長では教室全体を見渡せなかった。
ざわめく教室の空気に流石に不安になり後ずさりをする。が、グウェンダルと離れた不安と安心を期待していて裏切られた不安と悲しみにぽろぽろ涙が溢れていた。


「しょ…りっ……どこぉ…」


泣き声を噛み締めるのが精一杯で、ついには座り込んでしまう。
泣き止ませようと近づく生徒や先生を呼びに行く生徒、関わりたくないと遠ざかる生徒や面白がる生徒、不安で胸がさけそうになる千代はすべてが恐怖に見え、ただ泣きつづけた。



ニ、三分経つと集まりの後ろから「通してくれ!」と怒鳴りながら人込みをかきわけて姿を現す。







「千代か!?お前…何してんだ…」








思わず、どばーっと涙を流しながら立ち上がり彼に抱き着く。



「しょ〜りぃ〜っさみしかったよぉ…千代きたのに…さみしかったよ〜っ」


「わかったわかった、俺が悪かった……一人で来たのか?」




首を左右にふって俯き勝利の首に抱き着く。その仕種でだいたい解り頭を撫で抱き上げた。

「それじゃ、明日」と友人らしき人に告げ、教室を出た。




「千代、どうした?」


「べんきょ…しなきゃ……はやく…おとなに……はやくおもいださなきゃ…千代……ぐえん…きっと…千代をきらいになっちゃう……」





「…なぁ、千代」


「なぁに…?」





ちゅっと頬にキスをするとニコッと笑い首に抱き着く。



「千代は…前の千代じゃないんだ。俺は…お前が好きだぞ」





千代にとって最高の慰め言葉に嬉しくて涙が流れていた。
小さな手の平で拭い、でも拭いきれず、勝利の肩にしがみつき埋める。

少し照れたようにして、勝利の頬にちゅっとキスをする。



「千代も…勝利がだいすき!」




「あぁ…」


大きな手が頭を撫でる心地良さに泣きつかれて眠っていく千代の背中を一定の速度で軽く叩く。
心音のように一定感覚で身体に響く音に心地良さと安心感を感じたんだ。



大学を出て、車に乗り思い出す。




―――あの男は何処に居るんだ?
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