お題

□本音。建前
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声をあげて泣いた。
強がりすぎて、泣けない奴のために。
精神だけ年をとりすぎて、心は子どものままだ。
受け入れ先を求めて、さ迷っている。
オレの涙で濡れた頬に、ソイツ自身の涙が伝う。
鍵の外れた鎧は簡単に脱げて。
現れた本当の姿は、小さくて。
オレより大人で強い筈のコイツを、守りたいと思うのは変だろうか。
肩を震わせてオレの胸を涙で濡らす、そんな彼を守りたいと思うのは。
「……っ、ぅ…」
悲しいくらい静かに、密やかに泣く彼は。
とても弱く見えた。
これも『井宿』なんだろう。
これが、素顔なんだと思った。


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