お題

□見えない眼
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「美朱ちゃんが呼んでるのだ!!……二人とも、何してるのだ?」

沈黙をやぶりいきなり現れたのは井宿。
それに驚いた二人は思わず飛び退いた。

「な、何してるて…いきなりでてきたらびっくりするやろ!!!」

しかも、噂をしていた矢先のことだ。二人の驚きは半端ではなかった。

「まぁ、そう怒らないのだ。美朱ちゃんが呼んでいたから、早く行ってあげるのだ」

そういうともう用事は済んだとばかりにさっさと歩いていってしまう。
その表情は、やっぱりいつもの狐面で。

「聞かれてへんよな…?」
「さぁ…でも、アタシが思うに、相当…ニブいんじゃないかしら…」
「何考えてんのかよう…わからへんしな」

そう、彼の過去も考えも。否、彼という人間がどんな人なのかさえ、自分は何も知らない。
だからこれが恋なのかどうかもわからない。
ただ、知りたいだけなのかもしれなくて。
いつか分かるかと、分かれる時が来るだろうかと、焦れったい様な願いが心に引っ掛かる。
いつか彼は、素顔のままで自分に笑いかけてくれるだろうか。
そんな日が訪れてくれたら良いと願いを込めて、翼宿は井宿の歩き去った方を見つめた。


    END




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