お題

□断罪者
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確かにそれは事故だった。
しかし。
この心はそれを「有罪」と心得た。

断罪者


何度も夢に見る、あのときのこと。
全てを失ったあの日。
何故自分だけが生き残ってしまったのか、その思いだけは幾年過ぎても何ら変わることはなく。
あの時とは違うと自分に言い聞かせながら未だ、執着している。
罪を認めたのは他でもない己で、その罪を許すことが出来るのもまた己。
幾等笑い合って、長い時を過ごしても。彼等は飛皋とは違う。
当たり前のことに何度も頭を垂れた。
あれほど修行し、旅を重ねても。
朱雀を呼び出すと言う大義を果たした今でも。
後悔と自責の念だけは消えない。

その罪を有罪と認めるならば。
自ら首を落としてしまえればどれ程楽だろうか。

いつか罪が拭われる時はくるのだろうか。
来ることを願い、来ないことを祈って、咎人は今日も一人眠る。







    END*




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