お題

□磔
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罪深き者は罰せられる。
罪とは人が決めるものであり、人に都合良くできている。
故、裁かれる者は悪人とは限らない。
例えば今日裁かれる青年は、人ではない、ただそれだけを理由に命を落とす。
もっとも罪深きは、罪を認識する「人」なのやもしれない。


*磔*


「…んで、なんでアイツが死ななアカンねん!」
「堪えぇ俊宇!お前まで処刑されるで!!」
広場に通じる道の中でも一等狭く細く暗い、そんな道で一人の青年が喚いていた。
今にも走り出そうとするその青年を後ろからなんとか抱き止める、彼より少し年重の青年。
俊宇と呼ばれた青年の頬に涙が伝う。
「構へん…オレも、オレも一緒に…!!」
「アホ!!あの人が…芳准さんが守ろうとしたんは、お前やないか!お前が死んだら、あの人はなんのために…」
俊宇を引き留める青年の頬にも、涙が伝っていた。
彼等は愛しい人を亡くすのだ。
今から、この先にある広場で行われる公開処刑、其処で。




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