お題

□本音。建前
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言いたい言葉は言えなくて、下らない嘘言ばかりが口をついて出る。
理解を求めなくなったのはいつからだろう。
誰と付き合うにしても、そこに一線を画するようになったのは。


*本音。建前*

ボロボロになった服、剥き出しになった心。
涙を流したのは、何年ぶりだろう。
飛皋との戦いの後。
傷付いた体で宿へと飛んだ。
美朱たちを先に行かせ、暫く外に佇む。
治療をするべきなのは判っている。
ただ、この痛みを刻みつけておきたかった。
「…やはり、オレを恨んでいたのか…」
魔物に魂を売ってしまうほどに。
最期、あれは和解できたのだろうか。
親友なんかではなかったと…それに言い返した自分の言葉は、安っぽくはなかったか。
自嘲的な笑みが浮かぶ。
面を外していたことをそのときになって急に思い出した。




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