戴宗×林冲

□誓約
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そこは闇に支配されていた。窓の外には小さな星の光が瞬いていたが、戴宗が立っているそこには届かない。
それでも夜目の利く戴宗は、目の前で自分を拒絶するように閉じられている扉に手を伸ばした。
音を立てないように、静かに扉を開ける。気配を完全に絶ち、足音を忍ばせて、窓際に備え付けられているベッドの上で眠るその人の許に歩み寄った。
闇にさえ浮かぶ白い容貌。瞳を閉じていて尚、その美貌は際立っている。
思わず見惚れそうになった戴宗は、だが次の瞬間、素早く上から林冲を押さえ込んだ。
いくら気配を経ったとて、林冲も武術の達人である。戴宗が入ってきたことに気付いていたのだろう。
閉じていた瞼が開いたと思った途端、飛び起きようとした。それに気付いた戴宗が先手を打ったのだ。

「こんな夜更けになんの用ですか?」
「男が夜中に他人の部屋に忍び込んですることといやぁ、一つしかねぇだろ?」

上から押さえつけられている絶対に不利なこの体勢でも、彼は臆することもなくきつい眼差しで問い掛けてくる。それに笑みを浮かべて、戴宗は答えを返した。
しかしそれは全く林冲には通じなかったらしい。

「何を訳の分からないことを……。とにかくそこから退いてください」

不機嫌そうに顔を顰めた彼は、とにかく戴宗の呪縛から逃れようと藻掻き始めた。
体格の差を考えると戴宗など軽々と退けることが出来ると、高を括っていたに違いない。林冲も細見ではあるが、禁軍武術師範補佐まで務める槍棒の達人だ。彼に蛇矛を持たせれば、師である王進でさえ舌を巻くという。そんな彼はもちろん誰よりも鍛錬を怠ることなく、相応に鍛え抜かれていた。
だが上からがっちりと押さえ込んでいる戴宗は、びくりともしない。驚愕に目を瞠る林冲に、戴宗は口許に弧を描いてみせた。
戴宗とて小柄であっても、あの巨大な宝剣・伏魔之剣を扱うほどの腕力を有している。上から抑え込んでしまえば、そう易々と後れを取るはずがなかった。
茫然と自分を見詰める林冲の瞳は、周辺の闇よりも更に深い漆黒だ。そこに映る自分の姿は今までにないほど余裕がなくて、思わず小さな笑みが漏れる。
しかしそれを悟らせないように、顔を寄せた。そのまま避けることさえ思い浮かばなかったのだろう。林冲は身動き一つ取ることもせずに、戴宗の唇を受け入れた。
林冲が我に返るよりも早く角度を変えて、深く彼を貪る。掴んでいた腕を離し、逃れようとする林冲の頭をがっちりと固定して、熱い口腔内を舌で蹂躙した。
柔らかな上顎を突き、歯肉をなぞる。怯えたように奥に引っ込もうとする舌を追い掛け、無理に絡ませた。
含み切れぬもうどちらのものか分からぬ唾液が、林冲の口角から溢れて彼の白磁のように滑らかな頬を滑り落ちていく。
しばらくは戴宗の暴虐から逃れようと暴れていたが、酸素不足に陥ったのか。その躯からはくったりと力が抜けた。
そこまでして戴宗はようやく口付けを解く。粘着性の増した唾液が、お互いの唇をまるで銀糸のように繋いだ。
それを指で絡め取り、首筋に顔を埋める。舌を這わすと、林冲の躯がぴくりと揺れた。
恐らく林冲はすでに王進の手が付いていることだろう。あれほど王進に心酔している彼のことだ。躯を差し出すことなど造作もないに違いない。
初物でないことに不満を覚えるが、こればかりは今更どうこう言っても詮無きことだ。
ならば王進しか知らぬ躯に、自分を刻み込めばいい。
戴宗は寝着の中に手を刺し込んで、胸の頂にある突起を指先で押し潰すように刺激した。

「ぁ、……っ!!」

小さく上がった声。もっとその声が聞きたくて、ぷっくりと勃ち上がった突起を爪で引っ掻いたり、指先で摘んで捏ねまわす。

「やっ!や……めっ!義……賊……っ!!」

こんな時でさえ名前を呼ぼうとしない林冲に、お仕置きだとばかりに突起をきつく抓んで、もう片方の突起に顔を埋めた。舌で転がし、音を立てて吸ってやると、ぱさりぱさりと軽い音を立てて髪が揺れる。

「あっ、あっ……、ん……っ!!」

思ったよりも感じやすい躯に、戴宗はほくそ笑んだ。胸だけで彼は感じているようで、すでに勃ち上がっているそれが戴宗の大腿部に当たっていた。

「止めろ、って言いながら、既に勃ってるぜ?おたくだってやる気満々じゃん」
「ちが……っ!」
「何が違うってんだよ」

ムキになって否定する林冲に、わざと膝で頭を擡げている彼の花芯をぐりぐりと刺激する。林冲の喉がひゅっと鳴った。

「今までだって散々王進の野郎とヤってたんだろ?可愛い子ぶるなよ」
「王進さまと貴様風情を一緒に……!」

自分から王進の名を出しておいて、林冲がその名を口にするのは許せなかった。その口を黙らせたくて、戴宗は寝着の上から花芯を容赦なくきつく握る。

「ひっ……!!」

突然の痛みに、林冲は引き攣ったような声を上げた。
生理的な痛みのせいだろう。きつく閉じられた瞳からは、ぽろぽろと雫が溢れだしていた。
その様子に戴宗は満足したように、握っていた手を緩める。そして今度は欲を煽るように手を動かし始めた。
寝着の上からもそこが勃ち上がり、しっとりと湿っているのが分かる。
戴宗はほくそ笑み、手を潜り込ませて直接蜜を零し始めた花芯に触れた。

「どっ、どこ触わって……っ!!」

林冲がその手から逃れようと身を捩るのを、鈴口にきつく爪を立てて阻止する。途端に林冲の躯はベッドに舞い戻った。

「いっ……!」
「いい子にしてねぇと、もっと痛い目に合わすぜ?」

耳元に顔を寄せて囁き掛けると、林冲は信じられないと言ったように目を見開き戴宗を見る。その瞳に嘘はないと感じ取ったのか。林冲は悔しげに唇を噛み締めて顔を逸らせた。
戴宗は目の前にきた耳殻を食み、ねっとりと舌を這わす。それと同時に蜜を広げるように指先を動かし、掌で強弱を付けて幹を刺激した。

「ふっ、ぁ……っ!くっ……」

林冲は声を出さないように己の手を口許にやり、固く噛み締める。そうすれば痛みで少しでも快感から逃れられるとでも思っているのか。
自分の与えている物を拒絶するようなその態度に、戴宗は苛立ちを覚え、無理やりその手を剥がした。

「声、出せよ。いつも王進には聞かせてる声を俺にも聞かせろ」

揶揄る口調に林冲の眼差しが鋭さを増して戴宗を射る。だが彼が口を開くよりも先に戴宗は躯を移動させ、今まで手で弄んでいた花芯を躊躇することなく口に含んだ。

「やっ!や、め……!あ、あぁっ!!」

林冲は焦ったように身を起こそうとするがきつく吸い上げてやると、その手は戴宗の頭に伸びた。退かせようとしているのか。だが弱弱しい力では、何の抵抗にもなりはしない。

「やぁ!ん、ん……っ!!あぁぁ……!!」

飴玉をしゃぶるように舌で嬲り、幹を舌でなぞる。空いた手でその下で震える宝珠を転がしてやった。
林冲の切羽詰まった声が、戴宗を更に煽る。
きつく先端を吸い上げ、幹を下から強く扱きあげると、林冲は一層甲高い嬌声を上げて戴宗の口腔内に熱い白濁を解放させた。





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