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□君と俺のきっかけ5
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(応えなかった、か…)
ジローの言葉を脳内で繰り返し、何気にショックが大きい事を自覚する。
「いって」
「侑士ダッセ」
考え事をしてた所為で他愛もない段差でコケたら、隣に居た岳人が鼻で笑った。
「ほんまダサいわ」
(ほんまはからかい半分やったのに、いつの間にやら本気になっとるやなんて、な)
「あ、滝」
岳人の言葉に一回心臓が跳ねると、下に向けてた視線を上に上げる。
「滝オーッス!」
「やあ、今日も元気だね」
「今から俺ら飯食いに行くんだけど、たまには一緒に食わねぇ?」
「今日はもう約束しちゃったから、また今度誘って」
「ん分かった」
滝は岳人と話終わると俺を見た。滝と目が合って苦笑する。
(俺がおるからやろか…)
マイナス思考になってる俺がそう考えていたら、
「別に忍足が居るからとかじゃないから安心していいよ」
そう言われて、思わず目を見開く。(読まれてる)滝に思考を読まれて、嬉しい様な気恥ずかしい様な気分だ。
「俺、忍足の事嫌いじゃないし、じゃあまたね」
最後の方はこっちに背を向けながらだったけど、滝も言い慣れない事を言って照れているのが予想出来た。
「お前ら喧嘩でもしてたのか?」
「んー…まぁ似た様なもんやろ」
「ふーん、じゃあよかったな!」
「そやね」
岳人と会話しながら先程の滝を思い出して思わず口元が緩んだら、岳人が見ていて「思い出し笑いかよ、キメぇ」と怪訝な顔をする。
岳人にそう言われても緩みは収まらず、しまいには岳人に蹴り入れられた。
(一喜一憂し過ぎやな)
初めての感覚に浮かれながら歩いて行った。