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□君と俺のきっかけ3
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滝をよく見ているうちに思った事がある。
いつも一人で居るな、と。
「滝っていつも一人で行動してへん?」
偶然廊下で会った滝にそう切り出してみた。
「何それ、俺が友達いないみたいに言わないでよ」
「そうは言ってないんやけどな」
滝に二度目のキスをしてから、滝は自分に冷たいと忍足は思う。
いや、前から仲良く話していた訳じゃないが、二度目のキスをした日から警戒され、刺のある返事が返って来る様になった。
(予想はしとったけど、本当滝は分かりやすいなぁ)
滝は故意に一人で居ようとする所がある。他人と近すぎず、遠すぎず微妙な距離を関わってくる全ての人に、その状態を保っている。
(俺に冷たいって事は、近い距離におるって自惚れてええんかな?)
忍足との距離を離そうと、意識してそうしてる様に見えたからだ。
目の前に居る滝をじっと見つめると、滝の眉間にシワが寄った。
一歩近付くと、滝は一歩下がって一定の距離を保つ。
(警戒されとるし)
「こんな廊下の真ん中じゃ、何も出来んやろ。なんで下がんねん」
「どうだか」
(流石に公衆の面前で手ぇ出さへんよ)と、思っていたが滝の言葉にちょっとカチンときた。
「…そんなん言われると、寧ろ…襲うで?」
滝の言葉が忍足の何かのスイッチを押してしまったらしい。
忍足の言葉に滝は顔色を変えると、逃げる様に足早で教室に戻って行った。
「何や猫みたいやなぁ」
(ほんならどう仕掛けてこうかな)
近くなった君との距離を離さない為に。
そう思いながら、忍足は楽しそうに目を細めた。