復活短編

□少しずつ変わりゆく世界
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「ボス」



意味もなく街を散歩していると彼女と会った




ふと考えてみると最近、彼女と会う回数が増えた気がする




「こんにちは、クローム」



普通に挨拶をする俺



「こんにちは、ボス」



初めて出会ったあの頃は、全く表情がなかった程の彼女が微かに微笑んでくれるようになった


(これは俺にとっても嬉しいことだが)



「どうしたの、ボス?」



ふとそう思っていると、黙っていた俺を不思議に思ったのか彼女が俺の顔を覗き込んできた



「!!」



普段クロームとは背丈がほぼ同じ目線が同じなので上目使いでしかもいきなり近距離でやれたもんだからたまったもんじゃない!


見る見る内に俺は自分の顔が赤くなるのがわかった



「ボス?」



彼女がさらに不思議にそうにさらに俺を見つめる



その視線が痛い



「な・・なんでもないよ」



赤くなった顔を慌てて、彼女から背けた



「そう・・・」



横目で見てみると彼女はまだ不思議な顔で俺を見つめていた


「変な、ボス・・」



そんな彼女をなんとかごましかして俺は帰路についた












少しずつ変わりゆく世界



日々変わりゆく彼女に対する気持ちはもう分かっている


けど純粋で天然な彼女にこの気持ちを伝える勇気はまだ俺にはない



END
 

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