宝
□君の名前
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夕暮れ時ー…
今日は了平の部活が早く終わり久しぶりに一緒に帰ることになった。
毎日顔を合わせてはいるもの、こんな時間二人でいるのは久しぶりで今日あった出来事をお互いに話し合っていた。
「それでな、極限筋トレの最中にな…」
「ふふ…何それ…」
普段人前で笑みを見せない恭弥も了平の前では自然と笑みを零した。柔らかい雰囲気が二人を包むなかそれを壊す人がいた。
「恭弥ーっ!」
突然、呼ばれ後ろを向くと駆け寄りながら手を振るディーノがいた。
「よぉ!久しぶりだな恭弥!」
「…何?何か用?」
ニコニコと話し掛けるディーノとは対象に、無表情で応える恭弥。了平は少し離れたところで二人を見ていた。
「別に用はねぇけど、恭弥の後ろ姿見かけたからさ」
「ちょっ…触らないでよ」
「いいだろ?肩ぐらい」
「っほんと、止め…!」
了平は嫌がる恭弥を目の前にして、とっさに恭弥の腕を掴んだ。そしてそのまま自分の方へ引き寄せた。
「…帰るぞ、恭弥」
「う…ん…」
ポカンとしているディーノを置いて了平は恭弥の腕を引きながら早足でその場を去った。