□キリリク小説
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「頼むヒバリ! 補習はなんとしても避けたいのだ!」


現在、学校の応接室にて笹川了平はヒバリに助けを求めていた。
なんでも補習をすると部活時間が減るからテストで赤点は避けたい、だからヒバリに勉強を教えてくれと頼んでいた。


「君に勉強教えたって意味ないんじゃない?」

「それは極限に失礼だな! 俺はやるときはやる男だ!」
「ふ〜ん、まぁいいけど。」
「本当か! ではさっそく今日から頼む! 場所は俺の家にするか?」

「ん〜、僕の家にして。行くのめんどくさい。」

「分かった! ではまた夕方にな!」


嵐のように来た男は同じように帰りも嵐のように去っていった。


そして夕方ーーー


「じゃあ、まず何からやろうか、君の苦手科目は?」

了平は約束どうりヒバリの家を訪ねた。
ヒバリはマンションで一人暮らしだ。
家族はどうしたのかと毎回思ったが、それを了平が口にすることはなかった。


部屋に上がり、応接室のようなソファに腰掛け、低いテーブルに教科書を広げた。
そしてヒバリの言葉に至ったのだ。


「苦手科目か・・・。体育が得意だ!」

「そんなのテストにでないよ。聞いた僕が馬鹿だった。 とりあえず数学からやろう。」

「うむ!」

「範囲が17章からだから、そこからやってくよ」


ヒバリは教科書を広げ、そして眼鏡ケースから眼鏡を取り出してかけた。

「む? ヒバリは目が悪かったのか?」

「少しだけだよ。日常生活には問題ないからつけてない。」

「そうだったのか。」



了平はヒバリに眼鏡が似合うと思った。
細く黒いフレームの眼鏡は線の細いヒバリによく似合っていた。


「じゃあまずここの基本問題をやってみて。Xの求め方わかる?」

「え? あ、わからん!」


いかん、ヒバリに見とれて聞いてなかった。
眼鏡のヒバリはなんだか・・・珍しさからか、ドキドキするな・・・


「まったく・・ ここは初歩的なとこだよ?」


ヒバリが呆れたような表情をする。
よく見慣れた表情のはずなのに、眼鏡をかけているだけで全然ちがう表情のようだ。


「ここの求め方はこの公式を使って・・・」


教科書に目を落とし、伏し目がちになる。
そんな表情が色っぽく見え、了平はますますドキドキした。

眼鏡をかけるだけでこんなにも変わるのだな・・・
もっと色いろな表情が見たいものだ。
笑った顔も、怒った顔も。
・・・・泣いた顔も・・・


「ちょっと聞いてるの!?」

ぼうっとヒバリを見たままの了平にヒバリが怒る。
しかし了平は反応しない。


泣いた顔・・・
ヒバリの泣き顔はいつものヒバリのギャップからか、ものすごくかわいい。
眼鏡をかけた今だとそれも変わって見えるのだろうか・・・



「・・・・ヒバリ!」

了平は立ち上がり、反対側のソファに座っているヒバリのほうへ行った。
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