□文化祭マジック
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秋……といってもまだまだ暑い昼休み。
応接室のソファに座って、昼食を食べる了平は、もはや当たり前の光景になっている。


「………めいどきっさ?」


「うむ!最近はやってる、『お帰りなさいご主人さま』ってやつだな!」


「……いちいち言わなくていいよ。で、それがどうしたのさ」


「俺のクラスがやるんだぞ!文化祭でな!!」



「え゛……………」



*文化祭マジック*


二学期といえば、行事がもりだくさん。その中でも盛り上がる行事の一つ、並盛中の『文化祭』。

僕ら風紀委員は、他中からの妨害などを阻止して安全に行えるように見回るのが仕事。(表向きは)

だから、生徒らが何をするかなんて興味なかった。

……了平は別だけど。

でもまさか『メイド喫茶』って………

「ねぇ、それって了平もやるの?」


「うむ!俺はウェイターだがな!客よせ担当になった」


「……ふ〜ん」

だよね。了平もメイドのかっこするのかとちょっと焦ったよ。


「クラスの女子と小柄な男子がメイドになって、残りは客よせと雑務だ」


「………ふ〜ん」
女装するやつもいるんだ………。


「さっき衣裳合わせていたんだが、意外にちっこい男子も似合ってみんな可愛かったな」


「………へぇー、可愛かったんだ」

僕の目の前でそういうこと言うんだ。いい度胸だね、了平


「雲雀もやらんか?」


「…………………は?」


普通の会話の流れできいてくるから、思わず聞き逃すとこだった。
了平のほうはいたって真面目に話を続けた。


「雲雀はどこかのクラスとして参加する気ないのだろう?だったら、俺と一緒にメイド喫茶やろう!」


「あのさ、僕、風紀委員長なんだけど」


「だからな、その衣裳のまま見回ればいいだろう?俺は客集めとして一緒にまわれるし、一石二鳥だ!!!」

グッとおきまりのガッツポーズをし、キラキラと効果音がつきそうな笑顔で言われた。


「………なにその、生き生きした顔。言っとくけど、絶対やらないからね」


ちょっとにらみをきかして言ったのに、了平は動じない。


「なぜだ?他にも委員の仕事でもあるのか?だったら、俺も手伝ってやるから!」


「それ以前に、メイド喫茶なんかやりたくないんだよ。それに、一緒に回るんだったら、いつもの格好でいいでしょ?」


「良くない!!」


ガシッ!!っと両肩をつかまれ、真剣に眼を合わせられる。ガラにもなく緊張するからやめてほしい………。


「俺は!!メイド服を着た雲雀と歩きたいのだ!!!」


「…………………」


「…………………」
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