文
□唐なたの一番は僕だよ
1ページ/2ページ
イタリアからの任務を終えて久しぶりの部屋へと戻るとベッドの上に大きな山ができていた。
その山を覆っているシーツを剥ぎ取ると案の定中から雲雀が現れた。
「なんでここにおるのだ?」
……が、そっぽをむいて、こちらを見ようともしない。
「君には関係ない」
人のベッドに上がり込んでおいてそれは無いだろうと思ったが、よく見るとなにやら拗ねているようだ。
「どうした雲雀、何をそんなに拗ねておるのだ?」
俺は雲雀を無理やり抱き起こし、そのまま後ろから抱きかかえるようにしてベッドに腰を下ろした。
「拗ねてないし離してっ」
大暴れする雲雀を腕に力を込めることで封じ込めた。
「ならそんな顔はやめろ。せっかく久しぶりに会ったのに、お前の笑った顔が見れんのは寂しい」
そうすると、少しずつ雲雀はおとなしくなっていき、ポツリポツリと話し出した。
「だって……僕より先に沢田達に会ってるんだもん」
「すまんな。どうしてもすぐに伝えねばならぬことがあったのだ」
「それに………了平があの子抱えて帰ってくるんだもん」
「あの子は歩ける状態じゃなかったんだ。我慢してくれ」
どうやら自分よりも沢田やあの子を優先した俺に腹をたてているようだ。俺には雲雀が一番なのにな。
「……帰ってきたら一番にお帰りって言うつもりだったのに」
そう言って、雲雀が体の向きを変え、俺の胸に額をつけるようにして抱きついてきた。
「無事でよかった。君がいない間心配だった」
耳まで真っ赤にしてそんなことを言う雲雀が愛しくて、もっと強く引き寄せながら頬に手を寄せて雲雀の顔を上に向かせた。
「俺の心配してくれたのに、すまなかったな。今帰ったぞ」
「……お帰り」
雲雀は少し照れながら、はにかむように笑った。そしてそのままどちらからともなく、久々の口付けを交わした。
END