HIDE YOUR FACE

□真夏の夜の夢
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子供の頃、施設で一緒だった男の子に水場に幽霊が集まるって聞いて以来、風呂だって1人じゃ入れないくらい怖がりだもん。



「…このあいだ、ホラーでスプラッタな映画観てたじゃん。」

「スプラッタは平気。」←

「何が違うの?!ねぇ、ヒデ、何が違うの?!」

「実体が有るかないかじゃね?」←

「……………。」



だってさ、触れんならどうにかなるけど、触れないもんはどうにもなんないっしょ?



「お化け屋敷なんて作りモンだもんっ、触れるじゃない!」

「でも、これはなぁ…。」



メインゲートを潜る時はあんなに人が居たのに、ホラーハウスの周辺は閑散としている。



閑散っつーか…なんだろ、この死々累々感。←



なんかげっそり窶れて項垂れてる人がいるんですけど。
泡吹いてる人とか、泣き崩れてる人がいるんですけど?!



「秀ちゃん…。」



ジャケットの裾をギュッと握り締め、猫目を潤ませるかのん。



…やべぇ、勃つ!!←



「はいはい見つめ合ってないで入るよー。」

「にぎゃ―――ッ、嫌ぁあぁあぁぁあぁ!!!!!」

「邪魔すんじゃねぇよ、風俗ジブシー(-_-#)。」←

「うっせ、入りやがれ!」




















日本とアメリカの違いって、曖昧かハッキリしてるかだと思う。
日本の、どろりとした、ゆっくり何かが出て来る仄暗い闇と違い、アメリカのホラーっていうのはくっきりシャープな闇の中からワッと出て来る。

でも今回のはちょいと凝っていて。



「え〜と、何々…“20XX年、アメリカ北部のとある病院で違法な人体実験が行われていた。謎の薬を極秘で投薬された患者が次々とモンスター化、やがて病院の正体が明るみに。しかし強化され、凶暴なモンスターに州当局は病院を封鎖、立ち入りを禁止しモンスターの自然消滅で事態の終息を計ろうとした。だが、好奇心旺盛な若者たちが、面白半分、廃墟となった病院に足を踏み入れ、1人、また1人とモンスターの餌食になっていった…今宵もまた、命知らずな若者たちが病院に。果たして、この化け物の巣窟から生きて脱出できるのか―――”だって。」

「それで門に鎖で施錠してあるんだ。」



古めかしいヴィクトリアン風の門は鎖でグルグル巻き、その上で南京錠で施錠。
客が入る度に係のオネーチャンが開け閉めするらしい。



「…や、やだ…秀ちゃん…帰ろ…?」



目の縁に涙を溜めて訴えるかのん。


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