HIDE YOUR FACE
□彼女が水着に着替えたら?!
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………何無駄に爽やかな笑顔振り撒いてんだよ。
「行かない。4人で行けばいいじゃん、俺とかのんはウチで涼むから。」
「かのんが行かないなら意味ないでしょ。」
「なんで?!」
「考えてもみなよ。このアルバム出したら、直ぐメジャーデビューだよ?どんどん忙しくなって、かのんを何処にも連れてってあげらんなくなる。夏休みだよ?中学生が夏休みに何処にも行かないって有り?!絵日記、書けないよ?」
「………中学生に絵日記はねぇよ。」
いつの話してんだよ。
…確かに。
インディーズ最初で最後のアルバムを出せば、直ぐにメジャーデビューが決まってる。
これまでは忙しいとは言っても、ライブと仕事の合間にかのんを何処かに連れて行く事が出来た。
でも、メジャーになれば…。
今よりもっともっと忙しくなる。
構ってやれなくなる。
「……………。」
燦々と煌めく太陽、光を反射して眩しい波。
向日葵の付いた大きな麦藁帽子を被って、俺に手を振るかのん…。
胸元に花をあしらったハイビスカス柄の赤いビキニ姿でニッコリ微笑んじゃったりなんかして。←
「―――いいかも知んない…////。」
「どしたよ、HIDE。口元押さえたりして。」
「なんでもないっ。それより海行くなら、一旦アパート帰んないと!」
「だな。」
「じゃあ、2時にHIDEんチな!」
「おけ。」
「なんで俺んチ?!」
「はい、じゃあ解散!」
「ねぇ、なんで俺んチなの?!」
俺んチより駅にした方が海、近いじゃん!!
…海って何持ってけばいいの?!
タオルでしょ……………………………………………タオルにタオル。←
「タオルだけ?」
「や、だって何持ってくの?」
俺だって何年か前に当時付き合ってた女と行ったっ切り。
しかも、ちょこっと砂浜を散歩しただけ。
「レジャーシートとパラソル。日焼け止め。」
「………ウチにそんなモンあると思う?」
「横須賀のママのトコにない?」
「…ある、かも。」
お袋、なんでもかんでも取っとくし。
先に電話して、有るか訊いたら案の定、有るって言うから借りに寄る事にした。
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