婆裟羅 長篇 夢
□世界ハ踊ル
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―――フラれた。
偶々出会い系サイトで知り合って、付き合い始めた人に。
『好き』と言ったのは、彼。
もう若くないわたしとしては、この恋が終わったら次の恋…なんて花から花へ移り行く蝶のような恋愛は正直しんどい。
これが最後かも知れない。
駄目なら見合いに逃げるか…。
田舎で家族と同居、いい歳して片付かない娘を父も祖母も持て余しているのは感じる疎外感で解っていた。
家族って暖かいモノだなんて、わたしは思わない。
家族だからこそ、傷を抉って塩を塗り込め、更にハバネロの汁揉み込んだように辛辣な言葉を投げつける。
結婚願望の全くないわたしがいつからか結婚と言う妥協に逃げるようになり、しかしそうまでしてもこの家から出て行きたかった。
……此処じゃない、何処かへ。
10歳年上だった彼も、自分だって若くないからと再婚を考えていた。
バツイチ、子持ち。
息子と娘が1人ずつ、別れた奥さんが引き取って盆暮れ正月くらいは会っているらしいが、もう中学に上がるから会わなくなるだろうなぁ…なんて言っていた。
順調だった、順調に見えた。
一緒に居て楽しいし、気を遣わなくていい人。
何よりセックスの相性がいい。
顔がいい訳じゃない、寧ろ怖い。
体型は熊。
けれど見た目なんて、どうでもよくて。
何れ結婚して24時間365日一緒に居る相手だ、一緒に居て疲れないのがいい。
ワクワク出来る楽しい人が。
要は相性。
一緒に居て楽しい人なら、それでよかった。
わたしだって美人でもスタイルがいい訳でも金持ちでもないのだから、高望みはしない。
自分の立場を解ってるつもり。
男には本気になった事のないわたしが、妥協満載でそれでも本気に結婚を考えた恋愛。
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