FF7 SHORT DREAM SIDE・L

□whiteout
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(これは…酷いねぇ。)



腕を伸ばせば、指の先が吹雪で見えない。
方向感覚が盛大に狂ってしまう。



「カノン…。」

「…うん。」



返事はある。
けれど体力はもう限界。

普通の気温ならなんともないが、寒さで体温が失われれば体力も消耗する。



…早いトコ街へ着かないと。



自分の体力だって不安だ。

歩ける内に、動ける内に安全な場所へ行きたい。



「カノン…乗れ。」

「でも…。」

「いいから。お前さんの足に合わせてたら陽が暮れる。」



やっと動いてる…という感じのカノン。
レジェンドはこのまま体力を消耗させるよりは、と背負う事にした。



(なぁ〜んか…お伽話にこういうのなかったっけ?)



背負う、というだけなら結構ある。



「…レジェンド。」

「ん?」

「ごめん…。」

「気にしなさんな。お前さんは女、オレは男。オレの方がお前さんより体力あっただけ。」



体格や条件にもよるだろうが、カノンとレジェンドではレジェンドの方が明らかに体力がある。

浅く荒い呼吸を耳元で聞きながら、レジェンドは足を進めた。




















ぼんやりと周りが暗くなってきた頃、レジェンドは洞窟を見付けた。
とにかく、吹雪を防げる場所が欲しい。



(…助かった。)



吹雪の直撃を防げるだけでも有り難い。
問題は。



(体温の保持…。)



幸い、寒冷地降雪地での任務なのでダウンジャケットは着ている。
下半身は唯のスラックスだが、上半身―――心臓と腹が暖められればじゅうぶん体温は維持できるはず。



「カノン…おいで。」



洞窟の入り口から中に10m程。
然程深くない洞窟の1/3くらいの場所に落ち着くと、ダウンジャケットの前を一旦広げて胡座の上にカノンを呼ぶ。
すっぽりと包み込むとカノンの背中から彼女の着ていたダウンジャケットを被せて密着した。

元々色白なカノンだが、寒さで血の気が失せている。



(ツララ…?)



岩場に寄りかかりながら周りを確認。

鍾乳石のように下がるツララ。
目の前にある湖が凍る程冷えているのにツララがあるのはなぜなのか?

ツララが出来るには、雪または氷が溶けて再び固まる―――という状況が必要。



(変だな…これ、この岩―――冷え過ぎて割れたんだろ。)



つまり此処は相当寒いのだ。



(前にカノンがキレてシヴァを発動させた時に似てる…。)



召喚系マテリアを得意とするカノン。
以前、しつこい敵にぶちキレて全力でカマしたシヴァは凄かった。


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