FF7 LONG DREAM

□カナリア
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荒涼と吹き荒ぶ砂漠のド真ん中に、その国はあった。

世界一裕福な砂漠の国―――ゴールドソーサー。

砂漠という不毛地帯でありながら、砂の海を渡るキャラバン隊の唯一の休息地として、更に採掘される宝石や高値で取り引きされる香辛料、香水の原料となる香油の精製と原材料の生産などで財を築いた国である。

大陸を横断するように広がる大きな砂漠で唯一のオアシスと都市はゴールドソーサーのみで、港街コスタ・デル・ソルから山岳地帯の街ウータイに行く為にはどうしてもこの国経由で行くしかない。

ゴールドソーサーは、そこに目を付けた。

普通、こういった通過点となる国は高額な通行税などを取るものだが、ゴールドソーサーの通行税は無料。
何故なら過酷な砂漠を渡る人々は、必ず此処で休んで行く。
人が滞在すれば、当然、需要と供給が生まれる。
食べ物、飲む物、休む場所…水場が出来るとチョコ房が出来、宿が出来た。
宿に人が集まり、動物が居れば其処に供給する為に農作物が作られ、潅漑施設の拡大が必要となればその工事に必要な人が集まり更に供給量が増える。
街はどんどん成長し、やがて市が立ち、酒場や娼館などの娯楽施設、医療施設その他諸々か建設され、それに従事する人でオアシスの街は世界一の人口密度の国家となった。

街が国家になり、王が誕生。

その王の為に、発展した農業技術で花を栽培した。
花からは香油がとれ、香水が出来た。
農地開拓で鉱脈が見付かり、商人たちは質のいい商品を挙って欲しがった。
砂漠の国を訪れるキャラバンの数は増える一方、莫大な外貨を落として行った。

ゴールドソーサーは、稀に見る富裕国になったのである―――。










「兄ちゃん兄ちゃん!薬要らねぇか、薬。安くしとくぜ?」


薄暗い路地裏で、白いローブで全身を覆ったターバン姿の男がガラの悪い男に捕まっていた。
手に持ちチラつかせるのは、ドラッグを包んだ紙。

人が集まれば、当然、闇商売も横行する。

裕福な一方で、ゴールドソーサーは麻薬、人身売買と奴隷制度が公然と行われていた。



「…要らねぇぞ、と。」



邪魔だと言わんばかりに、男の側を通り抜けようとしたら腕を掴まれた。



「なぁ、いいじゃねぇかよ!1包でいい!1包でいいから買ってくれよ、な?」

「ウゼぇぞ、と。」

「ヒッ!?」



腕を掴まれた男は、腰から剣を抜いて相手の喉に突き付けた。


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