FF7 SHORT DREAM SIDE・R
□EGOIST
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『…ねぇ、何してんの?』
上物の葉巻を咥えた男が、わたしを見下ろす。
『寒くない?そんな格好してたら、悪い大人に悪戯されちゃうよ?』
『………お金、くれるなら、いいもん。』
『娼館に売り飛ばされて酷い事されてもいいの?』
『他人の暴力の方が、まだマシ…。』
『……………。』
わたしの両親はロクでもない人たちだった。
父親は酒にギャンブル、女に狂ってまともに働きもせず、母親は売春婦で酒、薬に溺れてた。
共通して言えたのは、2人とも癇癪を起こしてわたしに暴力を振るってた事。
その日、わたしは親の暴力やその他諸々に耐えかねて家を飛び出した。
飛び出したはいいけど、スラムで育ったわたしには行くトコなんてなくて…。
近くの寂れた公園のブランコでボーッとしてたら声を掛けられた。
随分、小綺麗な黒いスーツの男に。
『お前…もしかして、行くトコないの?』
『……………。』
父親が吸ってる、煙たいだけのツンとくる煙草とは違う匂い。
それだけで、この男がプレートの上の人間だって解った。
『オレと…一緒に来る?』
『……………。』
そっと伸ばされた、節のある長い指の大きな手。
理由は解らない。
けれどわたしは、戸惑いながらもその手を取った。
それが、わたしとレジェンドの出逢いだった。
レジェンドはタークス…当時神羅製作所だった神羅カンパニーの裏方で。
そこがどんな部署かは割と直ぐに解った。
『タークス入んない?』
レジェンドに拾われて1年、彼にスカウトされる形でタークスに入った。
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