FF7 SHORT DREAM SIDE・R

□鳴らない電話の向こう側
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「……………。」



暇、ぶっちゃけなくても暇。

1週間のウータイ出張を終え、帰宅したその夜は愛しいお姫様と離れていた時間を埋めるかのように燃えに燃えた。
それはいい。
それはいいが労を労った上司がくれた2日間の休日の1日目、俺は午前中で既に隙を持て余していた。



…暇は嫌いだ、余計なコト考えちまう。



もし、カノンに万が一があったら…?



「…有り得ねぇ」ってカノンは言うだろうが、タークスでエースなンて張ってりゃ危険度は増すワケで、それは同じくエースなンて張ってる俺なら十分解る過酷な任務の数々…。

…解ってる。
解ってる、彼女は俺なンかよりもずっと強い。

なンでタークスやってンのかと少々疑問に思うくらい強い、タークスよりソルジャーの方が給料いいのにな、と。



パカリと開いた携帯の待ち受けは、この間ゲットした無防備な寝姿。
キャミソールの肩紐がズレて半分胸が見えてるセクシーショット。

今頃何してンだろうな…なンて、解りきったコト考えながら馬鹿な質問を打ったメールを午前中だけで既に3回送信。
電話も2回掛けてンだけどな、と…。



「…は―――ぁ、カノン………。」



構って欲しいンだぞ、と。
返信くらいしてくれても、いいと思う。

溜め息はもう、何度吐いたか。
親が買い揃えたという家具の、上質な革張りのソファーに体を沈めて仕事中のカノンを思う。



何してンのかな、と…?



デスクワーク中?
それとも外で任務中?

誰と組んでンだ?
ロッドか、それともイリーナ?

いやいや、意外と相性のいいアークとかも知んないぞ、と。

ぐるぐる、ぐるぐる。
つまンねー事ばかり考えちまう。



あぁ…くそ。
イライラする―――…。




















薄く開けた瞼の隙間から、赤黒い光が射し込んで夕暮れの終わりを教える。



(…あー…寝ちまってたのか、と。)



しかも携帯握り締めたまンまって…女か俺は、と。

ぼんやりとしていた意識が徐々に浮上していく。
座ったまま寝てた所為で凝った体を伸ばし、コキコキと首を鳴らす。

全体的にシックな室内に似合わない黄色のファンシーなまでの造形な置き時計(因みにカノンが凄ぇ好きなンだ、この電気ネズミ。)は既に午後6時を過ぎている。

デスクワークなら通常の定時退社で17時、18時30分までには帰って来る筈。



…風呂でも準備しといてやるか、と。



バスタブの蛇口を捻ってお湯を出し、カノンの好きな入浴剤を適当に入れる。
それからついでに…とキッチンに向かって、冷蔵庫を開けた。



お…エビがあるぞ、と。



あいつ、エビとトマトのパスタ好きなンだよなー。
あンま凝ったのはできねぇけど、パスタは俺の得意料理。

カノンと一緒に暮らす前、俺の部屋に呼んだ時エビとトマトの冷製パスタ作ったら、旨いって凄ぇ喜んでたっけ(あンま表情は変わンなかったけどな、と)。



「お姫様の為に腕を奮いますか、と♪」




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