FF7 SHORT DREAM SIDE・R

□Ballad of Stray Dogs
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その日、出勤1番で上司から受けた任務にレノは素っ頓狂な声を上げて抗議した。



「神羅軍事学校で講師?!俺がァ?!冗談でしょ、と!!」

「冗談でお前にこんな事を頼むか、馬鹿者。いいか、レノ。タークスは極めて特殊な仕事だ、人材の適所が仕事の鍵を握る。イリーナが入って以来、我が調査課には1人も入っていない。だと言うのに仕事は増える一方で慢性的に人手不足。現に今もロッドやシスネが入院中、シャオランは手首骨折の為に刀が使えずデスクワークのみ…タークスは普通の部署と違い、常に全員が稼働できるというワケではないのだ。」



はぁ、と重苦しい溜め息を吐き出しながら米噛を押さえるツォンは、アクの強…いやいや、個性的な部下と上司の板挟みで胃に穴が空きそうな苦労を強いられていた。



「そこで、だ。我が優秀なる人材の宝庫、神羅軍事学校卒業予定者の中から、タークスとしての素質のある者をスカウトして来て貰いたい。」

「ならタダのスカウトでいいじゃないっすか!なンでわざわざ先生なンてやる必要があるンですか、と!?」

「お前は何年タークスをやっている。1日2日で素質を見抜けるのか?タークスとしてやれるだけの精神力を計れるのか?何より彼らは如何に軍事学校生であっても未熟な未成年、素質のある者は卒業までに鍛えて連れて来い!」

「そンな…無茶だぞ、と。」



出勤前にしっかり立てた筈の髪をへにゃりと項垂れさせながら、自身もげんなりと肩を落とす。
しかし、そこは長年レノを使ってきた上司。
扱い方は心得ている。



「まさかタークスのエースがまともにスカウトすら出来ないと泣き言言うんじゃあるまいな?」←



…カッチーン。

クールで格好いいだの、ピンチでも冷静な判断が出来るだの言われて定評のあるレノだが、実は負けず嫌いな性格。
そんなあからさまに『エースのクセに簡単な仕事も出来ないのか』と揶揄されてはプライドが許さないだろう。



「後で吠え面かくなよ、ツォンさんっ。すっげぇ奴連れて来るからな、と!!」



ビシィッ!と上司に捨てゼリフを残し、レノは新たなタークス確保の為に神羅軍事学校へ向かった―――。




















「えー、今日から卒業までの僅かなあいだですが、皆さんの特別講師をして下さるレノさんです。現役タークス、しかもエースのレノさんから学ぶ事は多いでしょう。皆さん、しっかり学んで神羅の為に立派な大人になりましょう!」



教壇に立つレノを紹介したのは、高等部3年を担当する学年主任の男だった。
だがしかし、生徒の半分―――主に女子は教師の話など右から左へスルー。
早くも密やかな黄色い声を上げていた。
軍事学校生とはいえ年頃の女の子、イケメン講師に沸き立つのも無理はあるまい。


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