FF7 SHORT DREAM SIDE・R

□BROTHER!!
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『…カノン、オマエ神羅カンパニーで働くって本当か、と?』

『あぁ…タークスだ。』

『…っ!タークスは人殺しの集団だって、皆言ってンぞ、と!それにアバランチと戦わなくちゃならないから危険だって…っ。』

『…知ってる。でも給料いいから。レノと2人で生きてく分、稼がないとな?』

『…っ。』




娼婦の母親とどこの馬の骨とも解らない男の子―――それが、俺とレノだった。
異父兄弟、お互い親父の顔は知らない。
お袋は酒とドラッグに溺れ、子育ては放棄状態。
産まれたばかりのレノは放ったらかし、俺が育てたようなモンだった。

自堕落な生活と薬物依存症でお袋はあっさりと死んでしまって、14で俺は働きながら5歳下のレノを食わせなきゃならなかった。

けど、ガキが稼ぐ賃金なんてタカが知れてる。

その日やっと2人が食える分のギリギリの稼ぎ。
俺はとにかく、成長期真っ盛りのレノは栄養が足りなくて同じ歳の子と比べて随分体が小さく華奢なのが哀れだった。

俺が20歳の時、神羅カンパニーのタークスだというヴェルドと名乗る男がスカウトに来る。
毎月の安定した収入と暖かなベッド、雨風を凌げる部屋。
提示された条件は俺だけでなく、レノを育てていくにも好都合だった。



腹一杯飯が食えて寒さに震えずに済む代償が、命。



会社の為にこの体、この命を捧げる事。

構わない。
それで兄弟2人、生きていけるのなら―――…。




















「…酒臭ぇ。」



ムッとするアルコールの臭いに、目が覚めた。

見なくても解る。

酔っ払ったレノが帰って来て、そのまま俺のベッドにダイブしたんだ。
いつもの事。

携帯のイルミネーションを作動させると時刻は午前4時23分、明日も早いってのにコイツは…。



「…レノ?レーノ、スーツぐらい脱いで寝ろ。ほら、ばんざーい。」

「…ん、ぅ。」



あぁ、俺ってば甘いオニーチャン。orz
でも仕方ない、赤ん坊の頃から俺が育てたんだ可愛くて堪らない。

俺が22の時、レノがタークスにスカウトされた。
メキメキと頭角を現して、20歳でエースの座を掴んでしまう。


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