HIDE YOUR FACE
□Valentineday Kiss
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「調理実習?」
コクンと頷く小さなあたま。
仕事が終わって、やっとこさ帰り着いた狭いアパート。
ドアを開けた俺を玄関まで迎えに来たかのんが、小っちゃな声で「エプロン、ある?」と訊いてきた。
なんに使うのかと訊いてみれば、明後日の家庭科の授業が調理実習との事。
…調理実習かぁ。
何作るんだろ、かのんの手作りなんて初めてじゃない?!
エプロン姿のかのん、可愛いだろうなぁvV
想像の中の(←)かのんは薄いピンクのフリフリしたエプロンで、ちょっと恥ずかしそうにはにかみながらニッコリ微笑む。
オマケのオプションで『お帰りなさい、ヒデちゃん。ご飯にする?お風呂にする?それとも…わ・た・し?』なぁ〜んて!!
あぁあぁぁあっ、かのん!!俺もっと稼いで大きなお部屋住めるように頑張るからお風呂でかのんちゃんイタダキマスしたい!!!!!←
「…お、にー…さん…?」
「ん、なんでもない。ちょっと混乱して鼻血出ちゃっただけだから。」←
玄関しゃがんで呼吸を落ち着けて、何事もなかったように靴を脱ぐ。
あぁ…鼻血止まんね。←
「…所でさ、かのん。エプロンって何処で売ってんのかな?」
わざわさエプロン1枚借りに実家の横須賀帰んのもなぁ…忙しくて時間がない。
「…わか、ん…ない…。」
解んないか、解んないよねー。
俺も解んないもん。
仕事で使ってるエプロン(ギャルソンが使うみたいな、腰に巻くタイプのね)貸してもいいんだけど、それないと俺が仕事し辛いからなぁ。
…参ったなぁ(-_-;)。
「ねー薫子さん、エプロンって何処に売ってんの?」
「エプロン?普通に衣料品店行けば売ってるわよ?」
「え…俺、見た事ないよ?!」
「うん。ヒデちゃんが服買いに行くようなお店にはい、まず100%売ってない。」←
「……………。」
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