HIDE YOUR FACE
□彼女が水着に着替えたら?!
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「「「「「…あっちぃ…。」」」」」
ぐたり。
ギターの、ベースの一部分が熱を持って爆発しそう。
TAIJIもPATAも、勿論俺もヘロヘロ。
TOSHIだって歌い過ぎて既にヘバり、YOSHIKIに至っては戦線離脱。
だのに!
だーのーにー!!
『冷暖房は此処1ヵ所でコントロールしてるんで、これ以上下げられないんですよ。他のアーティストの方から、寒いって苦情が…。』
スタジオのスタッフにクーラーの温度を下げて欲しいと頼んだら、そんな事を言われてしまった。
そりゃあんた、ただ歌ってるだけならいいよ?
俺らロックバンド、ギター掻き鳴らしたりドラム連打したりすんの。
真夏に設定温度28℃って下手すりゃ外とおんなじでしょ!!←
エコ?何それ猫の親戚?
知るか、んなモン。
「あっちぃ…やってらんねぇ。」
「熱、引かないね…。」
使い過ぎて熱を孕んだ腕をブンブン振り回すTAIJIと、これまた全身茹だったようにポタポタと汗を落とすTOSHI。
「……………海。」
「あぁ?」
スタジオの隅っこに転がってたYOSHIKIが、ボソリと呟いた。
「HIDE、車。海行くよ。」←
「はぁ?!」
ちょい待ち。
只今絶賛レコーディング中。
海行く時間なんてないし、つーか海?!
此処より直射日光で体感温度上がるトコ行ってどーすんだよ!!
「海かぁ…いいなぁ。」
「ここ何年も行ってねぇなー。」
「俺なんか高校ん時、そん時付き合ってた彼女と行ったっ切りだぜ。」
それをキッカケに海での思い出やら海に纏わる豆知識まで、出るわ出るわ。
もう既に皆、行く気満々。
「さ、かのん、帰ろっか。」
「…いーの?」
「いーのいーの。コンビニ寄ってアイスでも買ってこーね?」
「うんっ。」
えへへー、と笑うかのんの頬を汗が伝う。
あぁほら、動かないかのんだって汗だくじゃん。
汗疹でも出来たらどーしてくれんだ、○△スタジオ!!
「HIDE。」
「YOSHIKI、痛い。お前、握力無駄にあるんだから。」
肩がギシリと悲鳴を上げる。
唯でさえ、俺、肩凝りで常時痛いのに。
「これから海に行こう。」←
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