HIDE YOUR FACE

□彼女が水着に着替えたら?!
1ページ/6ページ




「「「「「…あっちぃ…。」」」」」



ぐたり。

ギターの、ベースの一部分が熱を持って爆発しそう。
TAIJIもPATAも、勿論俺もヘロヘロ。
TOSHIだって歌い過ぎて既にヘバり、YOSHIKIに至っては戦線離脱。

だのに!

だーのーにー!!



『冷暖房は此処1ヵ所でコントロールしてるんで、これ以上下げられないんですよ。他のアーティストの方から、寒いって苦情が…。』



スタジオのスタッフにクーラーの温度を下げて欲しいと頼んだら、そんな事を言われてしまった。

そりゃあんた、ただ歌ってるだけならいいよ?
俺らロックバンド、ギター掻き鳴らしたりドラム連打したりすんの。



真夏に設定温度28℃って下手すりゃ外とおんなじでしょ!!←



エコ?何それ猫の親戚?
知るか、んなモン。



「あっちぃ…やってらんねぇ。」

「熱、引かないね…。」



使い過ぎて熱を孕んだ腕をブンブン振り回すTAIJIと、これまた全身茹だったようにポタポタと汗を落とすTOSHI。



「……………海。」

「あぁ?」



スタジオの隅っこに転がってたYOSHIKIが、ボソリと呟いた。



「HIDE、車。海行くよ。」←

「はぁ?!」



ちょい待ち。
只今絶賛レコーディング中。
海行く時間なんてないし、つーか海?!



此処より直射日光で体感温度上がるトコ行ってどーすんだよ!!



「海かぁ…いいなぁ。」

「ここ何年も行ってねぇなー。」

「俺なんか高校ん時、そん時付き合ってた彼女と行ったっ切りだぜ。」



それをキッカケに海での思い出やら海に纏わる豆知識まで、出るわ出るわ。
もう既に皆、行く気満々。



「さ、かのん、帰ろっか。」

「…いーの?」

「いーのいーの。コンビニ寄ってアイスでも買ってこーね?」

「うんっ。」




えへへー、と笑うかのんの頬を汗が伝う。
あぁほら、動かないかのんだって汗だくじゃん。

汗疹でも出来たらどーしてくれんだ、○△スタジオ!!



「HIDE。」

「YOSHIKI、痛い。お前、握力無駄にあるんだから。」



肩がギシリと悲鳴を上げる。
唯でさえ、俺、肩凝りで常時痛いのに。



「これから海に行こう。」←




次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ