FINAL FANTSY 7

□風邪
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「あー…怠ぃ…。」



パラパラと堆く積み上げられた書類の端を捲りながら、赤毛の男は弱々しい溜め息を盛大に吐いた。

神羅カンパニー総務部調査課―――通称タークスに所属するその男の名はレノ。
真っ赤な髪と着崩したダークスーツがトレードマークの彼は今、今日中には提出不可能決定な有り得ない量の報告書と睨み合っていた。

最も、こんなになるまで溜め込んだ自業自得ではあるのだが、何せ実務主義なレノはデスクワークになどやる気は起きないし起こさない。







『レノ!今日と言う今日は書類を出して貰うぞ!』



任務を終えて相棒のルードとオフィスに戻ったレノを視界の端に捕えるや否や、上司であるツォンは眼光鋭く一喝した。
レノが受けたここ数十件分の報告書が未だ未提出、痺れを切らしたツォンが強行に出たのだった。



「…俺、今戻ったばっかなんデスけど、と。」



少し休ませろとニュアンスに含ませたつもりだがツォンの態度は変わらず、助けを求めて後ろの相棒に目を遣れば溜め息と共に「諦めろ」と視線だけ返された。



(ルードッ、こンの薄情者!ツォンさんの鬼っっ。)



自分を見捨てた相棒と非情な上司を恨みがましく睨んでみても、書類は減らないし決定事項も覆らない。
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