婆裟羅 短篇 夢

□甘い時間と癒やしを君に
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真田幸村率いる真田隊は全て、全部隊全員男で構成されている―――ただし、極秘部隊『真田零番隊』の隊長を除いては…。



忍とは違い扱いも武将級のこの部隊の面子は、だがしかし働きは忍に相当するモノで内容も過酷な任務ばかりだ。

わたしは、そんな連中を束ねる零番隊隊長。

今日も日付が変わって大分たった頃に部下と共に上田城に帰って来た。



「ご苦労様…しっかり休んでね。」

「は!長も十分にお休み下さいませ。」

「うん、ありがと。」



軽く手を振って部下とは廊下で別れ、城の奥まった所にある自室を目指す。
側には幸村様や真田忍隊隊長の部屋もある一角に、わたしの部屋はある。



(…疲れた……。)



忍には出来ない仕事を、零番隊はこなす。
しかし忍のように気配を殺し、相手の懐に忍び込み、闇に紛れて暗殺―――忍と違うのは忍術を使うか使わないかだ。



「お帰りー、かのんちゃんvVご飯にする?お風呂にする?それとも…オ・レ・サ・マ?」

「…………………………じゃあ、湯殿で佐助をイタダキマス。」

「いやんvVもう!かのんちゃんってば大胆なんだからぁっ。」



なら訊くな、と言うのは大分前にシカトされたのでもう言うまい。

力無く自室の襖を開けた途端に、迷彩服に割烹着と言う奇天烈な姿の男に抱き締められた。



猿飛佐助―――真田忍隊隊長を務める優秀な男。



わたしの…恋人、です……///。



「佐助、何で割烹着?」

「ん?そろそろかのんちゃんが帰って来る頃だなーって思ってさ、夜食作ってたんだよ。」



…そう言えば昼から何にも食べて無い。
忍は携帯食あるからいいけど、零番隊は忍じゃないからそんな物作る知識が無い。
因みに薬学もイマイチだ。



「どこ行くの、佐助?」



クィクィと腕を引く佐助に首を傾げる。
わたしの部屋はあっち、佐助が向かうのはそっち。



「何処って…湯殿に決まってんでしょ。」



ぽっと僅かに頬を染めて目を伏せるなんて、お前は嫁入り前の生娘か!

しかも可愛いじゃねぇか、コンチクショー!!

わざとだって解ってても動揺してしまうのは、やはり惚れた弱みか……。



「佐助…ご飯。」

「はいはい、たーっぷり俺様を食べさしてあげるからねっvV」

「……………。」



―――いや、ソレは心は満たされてもお腹は膨れないから。


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