FF7 SHORT DREAM SIDE・L

□bitterlovers
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「………ごめんなさい。」



しょんぼりと項垂れた天使は、絶対安静を言い渡されて白い部屋に捕らわれていた。










タークスは基本2人1組のツーマンセル。
データーを取って誰と誰―――相性のいい者同士が組まされる事が多い。
ルードとレノ、レジェンドとカノンのように。

しかしこれはあくまで『組めば任務成功率が上がる』というだけで、絶対のルールではない。
だから相性が悪くても任務内容によっては組まされるのだが…。



「お前さんが謝る必要ないでしょーよ。たまたまお前さんに着いてけるタークスがいなかった…だろ?」



レジェンドにスカウトされてタークスとして育てられたカノンは、レノに並ぶエース。
そのカノンが今回組んだのは、未だ新人の域を抜けないロッドやお嬢様たちだった。

頭数が多くても、カノンをフォローできる者がいない現場。
故に怪我は当たり前と言ってもいいだろう。

だがしかし。



(…どーしてくれんのよ。)



死神サマはご立腹だ。

当然だろう、愛しの彼女が内臓ぶち撒ける寸前の大怪我。
滑らかな肌に一直線に走った傷は消えないと医者に言われた。

嫁の貰い手ならいい、自分が貰うから。←
それにしたって女の子が負っていい大きさの傷じゃあない。

それだけが可哀想でならないのだ。



ただでさえ傷をこさえるのが仕事みたいなタークス。
お洒落で短いスカートも履きたいだろうに、傷跡を気にしていつもパンツ。



(今度は腹も出せないじゃないのよ…。)



半年に1回、レジェンドはカノンの好きな南の島へバカンスに行く。
わざわざプライベート・ビーチのあるホテルを選ぶのは、傷を気にして水着姿にならないカノンの為。

それなのに、これじゃあプライベート・ビーチでも水着姿にはならないと言いそうだ。



「欲しい物は?アイス、食べる?」

「…まだ、駄目だって。術後3時間は動いたり飲食禁止。」



律儀な奴。
タークスでそんな事、守ってる奴なんかいないだろうに。

因みに守ってないのはレジェンドとレノ、ロッドくらいで後は皆ちゃんと看護師の言いつけを守っているのだ。



「レジェンド…?」



カタリ、ベッドの側の椅子に座ったレジェンドにカノンは首を傾げる。

彼はタークス最強だ、誰よりも忙しい。
にも関わらずなぜに腰を落ち着けたのか?



「気にすんな…今日はもうないから。」



仕事は、という意味だ。

そろっと毛布から出てきた手。
手の甲には点滴の針が刺されている。

パチパチと抗生物質の弾ける音がした。



「レジェンド…。」



縋るように、手が己を捜している。

触れるだけに伸ばせば、力ない指先が握ろうと動いた。


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