FF7 SHORT DREAM SIDE・L
□whiteout
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「カノン。レジェンドさんと共にアイシクル・エリアへ向かってくれ!」
「マジ?!」
「拒否権はないからな!」
「ぃやほーい!!このクソ暑いエッジから脱出できるぅっ。」←
「……………。」
なぁんて。
盛大にはしゃいでたわたし。
まさかこんな事になるなんて…。
今年の夏は異常だ。
暑くて暑くて、アスファルトに靴底が溶けて張りついてたのを何度か見た。
だのに夏場に急増する電力を少しでも抑え、突然の停電にならないように節電が求められている。
オフィスは照明もクーラーも15%カット、クールビズとかなんとかでタークスもジャケット脱いでのデスク・ワーク。
こんな首都で節電したらブッ倒れるって。
緑なんてありゃしない。
アスファルトは熱を持ったまま冷えず、高層ビル群は気流を変えて雨が中々降らない。
蓄熱一方の大都市、茹だる暑さに誰もがやる気を削がれていた。
そこに、北の大地での任務到来。
当たったわたしは大喜び。
だってアイシクル・エリアは夏の平均気温が25℃、場所によっては雪も残ってる。
だのにっ。
だーのーにー!!
「あー…遭難したな、こりゃ。」←
猛吹雪の中、死神様はハッキリと仰った…。
「カノン…寝るな、よっ。」
「…ん。」
膝下まで積もった雪を踏み締める。
寄せ合った体からはどんどん温もりが奪われていく。
どこまで続くか解らない広大な雪原を、レジェンドとカノンの2人はひたすら街を目指して歩いていた。
任務は無事成功。
だというのに帰還の段階で道に迷うなんて…。
無理もない。
此処ら辺は地元の人間だって滅多に近付かない危険な場所。
行くと言ったら街の人に止められた程だ。
『悪い事ぁ言わねぇ、あんちゃん女連れてんだ。彼処にゃ近付かねぇ方がいい、迷って帰って来れなくなんぞ。』
しかし任務地はその先。
行くと言い張る2人に、男は親切にも言った。
『解った!ならいいか、あんちゃん。吹雪だしたら動くな、方向を見失う。吹雪がやむまで其処で立ち止まってろ、絶対動いちゃなんねぇぞ?!』
成る程。
レジェンドは真っ白く煙る視界に男の言った意味を理解する。
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