FF7 SHORT DREAM SIDE・R

□Ballad of Stray Dogs
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「…先生。」

「ん〜?」



窓ガラスの向こう、流れるライトアップされた街並みを見つめる少女の顔が、妙に大人びて見えた。



「わたし…タークスにはならないよ。」

「……………。」

「タークスじゃなかったら、パパは死ななかったもん…。」



タークスに入るという事は、死を覚悟したと言っていい。
それくらい、死亡率の高い仕事だ。



「…オッサンはタークスに誇りを持ってた。」

「知ってる…でも、パパを奪ったタークスを好きにはなれない。」



キン…と、金属の蓋が開く。
ふわりと香る、オイル独特の匂い。

散々言われた言葉。

誰かを奪ったタークス…それが、身内の娘のくちから聞こうとは。



「ゴメンな、と。」



一息吸い込んで、吐きながら窓を少しだけ開ける。
途端に外へ流れ出る煙を視界に入れながら、レノは赤信号でブレーキを踏んだ。



「…止められた。」

「……………。」

「レジェンドが1人残った時、止めようと思えば止められたンだよ、と。」



一旦退いて、態勢を立て直してから出直してもよかった。

けれど。



「言い訳だ…けど、聞いてくれ。あの時は、あれか最良の方法だったンだよ、と。」



ここで逃がしたら、次の機会はないかも知れない。
見逃してもいい時と、何がなんでもやらなきゃいけない時があるのだ。



「誰でもよかったンだよ…起爆スイッチ押すのなンて。俺でも、イリーナでも、ロッドでも―――けど、オッサンは自分が残るって…爆発物のプロが残るべきだって…万が一に備えてな、と。」



そして。





『お前さんたちゃ、まだ若いんだ…もっと生きろ。』





後ろから、クラクションが聞こえた。

ゆっくりとギアを入れ、何事もなかったかのように車を走らせる。



「…オマエの親父さんは、確かにタークス最強だった。」



何もかも。

タークスとしても、男としても、そして人としても。



「………わたしのコト、なんか言ってた?」

「何も…オマエがボロ出さなきゃ娘だって気付きもしなかったぞ、と。」

「そっか…。」



小さなマンションの前で停まる車。



「…着替えて来いよ、と。」

「?」

「飯…付き合えよ。オマエも1人で食うンだろ、と。」

「奢りだよね?」←

「女に払わせるワケねぇだろ、と。」



「じゃあ、待ってて」と、カノンはぎこちなく車を降りてヒョコリヒョコリとマンションに入って行く。


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