FF7 SHORT DREAM SIDE・R

□Ballad of Stray Dogs
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「“パパ”?」

「パ…パッパパラリラ!」

「それを言うならタッタタラリラだろ、と。」←

「…先生、27にもなってちびまる子ちゃん見てるんだ?」

「偶に―――じゃなくて!レジェンドがパパってどういう事だ、と?」

「チッ。」



上手く話を逸らしたと思ったのに、やはりエースは甘くなかった。



「オマエ…オッサンの、娘?」

「…だったら、何。」

「いや。あの人…娘なンていたンだな、と。」



タークスなんてヤクザな稼業、家庭なんて持つのは無理だと誰もが諦めているのに。
恋人を作るのだって難しい。

不規則な生活、更に何も言わずに週単位、月単位、下手をしたら年単位の任務に出る事だってある。
秘密主義でどこで何をしていたかも明かされない、言い訳したくても出来ない。
浮気だなんだと騒がれても、仕事の証拠すら見せられないのだ。

そして、常に生死と共にある。
いつ死ぬか解らない。
家族や恋人は気が気でないだろう。



「でもパパはちゃんと恋愛したよ?だから、わたしがいる。」

「お袋さんは、と?」

「知らない。初めから居ないもん。」

「…悪ぃ。」

「んー、気にしないで。わたしが出来てパパに押しつけて別れたってだけらしいから。」←

「………オッサン。orz」



なんだ、そりゃ。

てっきり彼女を産んで直ぐくらいに死んだのかと思ってたのに、下手こいて引き取らされただけの話だ。



「オマエ…今どうやって暮らしてンだ、と?」

「パパ、稼いでたから。」

「あー…。」



タークスはソルジャーに並ぶ高給取りだ。
但し、ランクに応じた給料になるので一般社員よりは高給とは言え、エースのレノとロッドなどでは雲泥の差。
勿論、レノより上の実力者だったレジェンドはそれ相当な額を稼いでいたのである。



「普通に暮らしてたら、30過ぎくらいまでパパの遺産で生きてけるわ。」

「………流石“死神”だぞ、と。」



タークス最強はダテじゃない。



「うしっ…これでいいだろ、と。」



テーピングし直し、レノは借りた物を棚に戻していく。



「ありがと…じゃあね、先生。」

「待てよ。送ってくって言ったろ、と。」

「………さっきの、本気だったんだ?」

「男に二言はねぇよ、と。」



肩を貸してベッドから下ろすと、ヒョコリヒョコリとフラつく体を支えてやりながら車に乗せてやる。
こんな足で良く登校して来たものだと呆れるやら、感心するやら。



(―――死神の娘だもンな、と…。)



弱みは見せない。
弱音は吐かない。
やってもみない内から出来ないなんて言うな。

新人の頃、散々言われた事が娘にも教えられていたとは。


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