FF7 SHORT DREAM SIDE・R
□Ballad of Stray Dogs
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「はぁ…あの赤毛、昔の恨みをわたしで晴らしてんじゃないでしょうね。」
教室に誰もいなくなる頃を見計らってたら、もう放課後。
校内はオレンジ色に染まり、静まり返っていた。
『レノって、ちょーっと毛色の変わったのが入って来てさ。体は小っこいけど、中々いい戦闘センスしてんの!』
嬉々として語る姿を、幼いながらに嬉しいんだろうなぁと感じ取ってはいたけれど。
「…その時扱かれた分、わたしに返してる?や、ないか。わたしが誰の娘か知らないみたいだし。」
歩く度にビキビキと引き攣る足をやっとの思いで動かしながら、カノンは溜め息を落とす。
タークスになる気は、ない。
神羅軍事学校はエスカレーター式で、元々初等部からいたのでそのまま高等部まで上がっただけ。
銃の腕を磨いているのも、別に神羅カンパニーに入る為ではない。
今のご時世、自分の身ぐらい自分で護れなければ。
まして女の独り暮らし、銃の1つも扱えなければ危険で仕方ない。
「わ…っ!?」
ずる、と爪先が滑る。
感覚が麻痺して痛みしかない足は覚束ず、階段を踏んだつもりで足の大半が何もない所を踏んでいた。
(うゎ…この高さはヤバい!)
案外、冷静だな…わたし。
傾き、目まぐるしく変わる視界でそう思った。
そうだ…あたま、せめてあたまは守らなくちゃと、両腕であたまを抱えるようにして落下に身を任せる。
余計な抵抗をすれば、いらぬ怪我が増えるだけ。
「―――大丈夫か、と?」
「…?」
衝撃に備えてギュッと体を丸めていたのだが、思った程の痛みはなかった。
代わりに落ちてきた、癖のある声…。
「……せ…ん、せ…?」
薄っすらと開けた瞼の上に、サラリと真紅の糸が降る。
「大丈夫か?どっか痛いか?」
「……え、あ…んーん、だいじょーぶ。」
震えた声が出た。
「はー…まに合ってよかったぞ、と。」
受け止めてくれたレノの胸から、早い鼓動が伝わってくる。
「…せん、せ…なんで…。」
オフィスに戻ったのではないのか?
現在、レノは講師と本業の掛け持ち状態だ。
講義が終われば、サッサと会社に戻る。
「気になって戻って来たンだぞ、と。」
「何が…。」
「…オマ「あーっ!センセ、カノンと抱き合ってるぅ!」………違うだろ。こんな所でこんな格好で抱き合うかよ、と。」
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