FF7 SHORT DREAM SIDE・R

□Ballad of Stray Dogs
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渡された銃を見て、彼女は怪訝そうにレノを見上げた。



「ただのモデルガン、弾はペイント弾で当たっても痛くはない。レーザーサイトは本物だぞ、と。」



その説明に、ますます謎は深まる。

コレで、何をしようというのか?



「着いて来いよ、と。」



連れて行かれた場所は、市街地戦の訓練用に作られた200m四方の街。
崩れたビルや、剥がれたアスファルトなど、臨場感たっぷりだ。



「弾は全部で6発。1発相手の心臓かあたまに当たったらゲームオーバー。」

「……………。」

「俺とオマエのシルエッタ・ファイト(模擬戦)な、と。」



目に染料が入ったら困るので、カノンにゴーグルを渡す。
レノは自前の、いつもあたまに乗せているゴーグルを装着した。



「…馬鹿馬鹿しい。」

「ん?」

「そんなの、先生が勝つに決まってる。わたし、実戦経験ないもの!」



しかも、レノが提示したあたまか心臓―――確かに1発当たれば簡単に人を殺せる場所だが、正確に当てるという技術も要求される場所だ。

現役タークス、しかもエースのレノ相手では分が悪過ぎる。



「やってみなきゃ解んねぇだろ、と?」

「……………。」



ピジョン・ブラッドの瞳が、ス…と細められる。



「そンじゃ…無制限1本勝負スタート!」



レノの声を合図に、訓練用の街に身を潜めた。




















結果を言えば、カノンの惨敗だった。

レノの身のこなしは速く、狙いを定めるのに相当苦労していたようだ。
1発はレノの利き腕―――左上腕部に当たったが、それは対象外。
もう1発は上手い事あたまを狙えたが着弾寸前で意図的にかわされ失敗。
残る4発は全て外してしまった。

一方のレノは3発を残し、ペイントはしっかり彼女の心臓を捉えての終了。
学生と現役の差をまざまざと見せつけた。



「オマエ…いつから俺が左利きだって気づいてたンだ、と?」



瓦礫に腰掛け、ゴーグルをいつもの位置に戻しながら訊く。

左側を集中的に狙ってきたカノン。
タークスのオフィスでならまだしも、不特定多数の、いくら神羅軍事学校生とはいえ見ず知らずの人の前では意識して右手を使うようにしているレノ。
それは圧倒的に左利きが少なく、微かにでも記憶に残りやすい事を意味し、潜入捜査などには適さないためにつけた癖だ。

人は、自分と同じ他人は記憶に残り難い。


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