ブラックぶっく

□君の手に入れ方
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「あっれーまだ意識あんの??」

「うっ…ぅ…」


あははは、こいつマジ面白いんだけど、顔なんか涙でぐちゃぐちゃじゃん。すっげぇー不細工。

「な…んで…」

「何で彼氏の俺がこんなことすんのかって??」


こいつにやったことは世間で言うなら犯罪に値すること。こいつの全部を奪ってやった。そんでもって監禁して抵抗してきたから殴ったら血やから何やら吐いておとなしくなった。それから毎晩抱いて綺麗な肌に爪をたてたら赤い液体が流れた。それがなんか癖になってすっげぇ綺麗に見えてさらに傷つけてやった。あいつは気絶することも出来ない、あーマジ楽しい。


「ただの暇潰し」


あいつは悲しそうな瞳で俺を見た。あ、今のぜってー傷ついただろーなぁ。まぁ暇潰しでこんな事されてるもんなぁ。俺だったらもう自殺してるわ。


「俺のこと嫌いになった??」



こいつが俺のことどれだけ好きだったか、俺が一番よく知ってる。そんな俺にこんなことされて好きって言うバカいねぇか。


「…す…き…」



「…は??」


「…大好き…」


動揺した。何で??こいつ俺に何されたかわかってんのか??何で…





「嫌いになれよ…」

「…すき…」

「嫌いになれっつってんだろ!!」

あいつはそれ以上何も言わなかった、それが無性に腹が立って、まだ乾いていない頬をおもいっきり殴った。


ああ、そうだ。今気付いた。こいつはいつだって俺の思い通りになってくれない。恋人になるまでどれ程苦労したか…俺が一番よく知ってることじゃん。あの仁王先輩が本気で惚れた奴に俺も本気で惚れた。どれだけ必死に追っかけてもするりと抜けていなくなる。やっとのことで恋人になった時、嬉しさとよくわらない何かに包まれた。

「嫌いって…たった一言言えば殺すのに…」

ずっとおかしかったのは俺の方か、好きで好きで恋しくて恋しくて、俺はその限界領域を越えてしまったんだ。嫌いと言えば心置き無く殺せる、そしてその瞬間すべて俺のものになる。だって俺は俺のことを好きでいない生きているアンタなんかいらないから。それならいっそのこと死んだアンタの方が安心じゃん。俺から離れていくことなんかないし。あんな乾いた思いは二度と味わいたくないから。嫌われて俺のものにしたい、そう考えるようになったのはいつからだったか、最近の話しではない、だから俺は今こうやって罪を重ねてる。


「あか…や…」


「…」


「す…き…」


「…っ…」



いくら傷つけても、いくら形だけの関係になっても、こいつは俺のものにはなってくれない。そう言い聞かされた気がした。





君の手に入れ方

(誰でもいいから教えてくれ…俺は…どうすればいい??)






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