ブラックぶっく
□俺たちは花火になる
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「なぁなまえ」
「ん??」
「今度の夏はどでっかい花火、見に行こな」
「うん!!」
なぁ、なんでなん??なんで俺達が選ばれたん??ほんま…意味わからんわ…なぁ、なまえお前もそう思うやろ??
涙さえ出てこうへん俺に、風が微かに答えた。横たわるなまえはまるで眠っているように綺麗でそして真っ赤だった。
手を握ってみれば氷のように冷たく、生きている心地がしない。
なぁ、なまえ、俺達はまだお互いの事…なんも知らんねんで??付き合ってまだ1ヶ月で…デートの数だって少なくて…まだ手しか握ってへん。
やのに…やのに…
「守れ…へんくて…ごめんな…」
届かない言葉を何度も呟いた。
ピッ、ピッ、ピッ、ピッ
首元にある発信器が爆破地点を知らせた。どんどんと早くなる音はもうすぐ爆発する事を知らせている。逃げろ、逃げろと赤の点滅は光りを増した。
逃げる??どこに??これ以上生きて…なんか良い事でもあるんか??なぁ、もう何も望まへん。望まんから…せめてこいつと一緒におるぐらいええやろ??他には何も…望まんから…
なぁなまえ、一緒に花火見に行こうって言ってたやろ??叶えられんくてごめんなぁ…ほんま…ごめん。
やからさ…俺達が花火になろ…きっとどっかのでっかい花火なんかよりもずっと綺麗やで…死んでもずっと…そばにおるからな…
「たーまやー」
俺はなまえの肩に顔を埋めた。
ドーン!!
俺達は花火になる
空へと消えた煙。
俺達は確かにこの小さな島で生きていた。
今度生まれ変わったら、必ず約束を守るから…
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