ブラックぶっく

□拝啓、戦い終えた勇者たちへ
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「ごめんな…さい」





ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい



ずっと私を守ってくれたのに…


命懸けで救ってくれたのに…




残り2名






「なまえ…」


「ごめんね…ブン太…」



私はあなたに殺されても良いと思っていた…



どうせ私はブン太が助けてくれなかったらここまで生きてこれなかったのだから…




でも…




いざ死ぬという事を想像すると…怖い…




「私ね…怖いの…だから…」




卑怯だってわかってる…命の恩人にこんな事をするなんて…



でも…


どんなに卑怯でも…




私は明日もこうして空を見ていたい…



生きていたい…



だから…




「…お前は…生きろ…」

「え?」

「もともとこうするつもりだったしな…」



にこっと笑ったこの場に不似合いな笑顔に恐怖と言うものを感じなかった。



「お前は俺達の分まで生きて…幸せになれよ…」



それが俺達の願いだから…


彼の瞳から涙が零れ落ちた…



「大丈夫だぜぃ…ずっとそばで見守ってるから…」




バンと大きな音が鳴り、前へと倒れて行く…



最後まであなたはずっと…

笑っていた…


綺麗だと感じるほどに…



それに比べて私は何て醜いのだろう。



ブン太は…いや、ブン太以外もみんな…別に生きたかったわけじゃないんだ…




ただ…仲間に殺されるのが…



仲間が変わって行くのが…


怖かったんだ…





ピーーー



「優勝者、みょうじなまえ。」



勝利を告げる放送が鳴り響く…



私はただ、雲のない空を見上げていた。







拝啓、戦い終えた勇者達へ


(みんな…終わったよ…)




〜END〜



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