×Mukuro

□終わりある出逢い
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『  』
なんと言われて手をとったのかはもう覚えていない。

空(くう)を掴んだ指先が足元に伸びた。
また一つ、誰かがこの場から去っていく。
どんな惨劇を見ようとも彼の瞳が何も見ていないのを私は知っていた。


帰るとしたら何処へ?
祈るとしたら誰のために?
すべてはあなたのためにしかない。
大声で泣くことができないなら、いっそ偽りの笑みを送ろう。

「あなたは僕に何を求めたかったのですか」
彼は何も言わない。
ただ揺れる炎を隠した瞳が寂しげにこちらを見ている。



そして彼はジャッポーネへと去った。
あとには継いだモノが残っただけ。

「あなたはずるいです」
染み付いた記憶と温もりを感じた手のひら。
すべては霞んで…消えた。

『…けれど、あなたは哀しい方でもありましたね』
どこかで誰かが泣いていたような気がした。
それが自分なのか彼なのかは分からない。

それでもいい、共にどこかで生きていれば。
いつかは巡り会うこともあるだろう。


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