×Mukuro
□相対的破壊(そうたいてきはかい)
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暮れ時は、廃墟同然の場所には時に寂しく空虚な時間を思わせる。
しかし、ここはまた違っている。
一人は無表情に窓辺に立ち、もう一人は愉しげに話しながらソファーに座っている。
窓辺に立つ青年―雲雀恭弥はじっと窓の外を見ている。
といっても景色を見ているわけではない。
もう一人のお喋りな青年に飽きて(もともと相手にしていなかったが)ぼぅっと何処かを眺めているのだ。
「…だとしたら、なんと綺麗な嘘だと思いませんか?」
雲雀とは逆に、ソファーに寛いだ様子で座っている青年―六道骸は先程から何が面白いのかクスクスと笑っている。
「君ってお喋りなんだね…あんまり煩いと咬み殺すよ」
雲雀は射刺すような瞳を骸に向ける。
「おやおや、そう言いつつ、もう構えてるじゃないですか」
言葉とは裏腹に、骸の顔は少しも驚いた表情をしていない。
どちらかと言えば面白がっている。
「では一戦交じあいますか?あちらとこちら、僕はどちらでも構いませんが」
骸は意味深な笑みをしながら雲雀を見る。
「そうだね、じゃあこっちにするよ」
そういうと雲雀は骸の手首を掴んで彼の座っているソファーに押し倒す。
「今日は気絶なんてしてる暇ないくらい喘がせてあげるよ、覚悟しなよ」
「クフフ…臨むところですよ」
夕暮れは暗く陰を落としながら、ガラス窓に射し込む。
二人の子供は退屈な世界の中で新しい時間の造り方を知った。
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