太陽のあたる部屋

□Amnesia
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「陛下!閣下!危ない!!」




頭上からメイドさんの声が聞こえた。その直後、隣を歩いていたコンラッドがおれに覆い被さり、次に"ゴン"という鈍い音が。そしてそのままおれたちは地面へと倒れ込んだ。










「コンラッド……早く目を覚ましてくれよ……」



ここはコンラッドの部屋。ベッドのに横たわる彼の手を握り、必死に訴えかける。



朝のロードワークを終え、部屋へ戻ろうとしたその帰り道、おれたちは城の脇を歩いていた。丁度その時、上の窓では花を飾ろうとしていたメイドさんが手を滑らせ、花瓶を落としてしまっていたのだ。その花瓶が運悪くコンラッドの頭に直撃しまった。





「ユーリ、元気を出せ。あいつがこんなことでくたばる男ではないのはお前が一番知っているだろ。」




隣にいたヴォルフラムがおれをはげましてくれる。この部屋にはヴォルフだけじゃなく、グウェンダルやギュンターも心配して駆けつけてきていた。




「そうですよ陛下。ヴォルフラムの言う通りです。それに、ここはもうギーゼラに任せて自室で休まれてはどうですか?ずっとコンラートに着きっきりでお疲れになられているのでは?」





ギュンターもおれを気にかけてくれている。でも……




「うんん。コンラッドがこんな目にあっちゃったのは、おれを庇ってくれたからなんだ。もし、コンラッドと一緒にいなかったらおれがこうなっていたのかもしれない。だから、コンラッドが目を覚ましたら真っ先にお礼がしたいんだ」




「陛下………」




おれの心がギュンターに伝わったのか、それ以上何も言ってくることはなかった。




そう、おれは彼にお礼が言いたい。目を覚ましたら、一番におれの顔を見せて、笑顔で"助けてくれてありがとう。おれは大丈夫だよ!"って。
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