太陽のあたる部屋
□おれと彼の願い事
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「あのさぁ、村田…おれが前に女装して大変な目にあったのは知ってるだろ……何でまたこんな事させるかな…」
「うわー!すごいよ、さすがは渋谷だね!和・洋ときたら次は中華。今度はチャイナ服を着てみようか、スリットがかなりはいってるやつ」
「着るかっ!料理じゃねえんだから!!…正月早々またこんな……」
年が明けた一月一日。新年のおめでたいこの日に、おれは今年初の災難に見舞われていた。
事の始まりは一時間前。友人の村田健が家にやって来た事から始まった。
"せっかくのお正月なんだし、着物でも着てみない?僕、一式持ってきたし、着付けもできるからさ。今日一日それで過ごしなよ"
そんな村田の提案に親父・お袋・勝利は大賛成し、おれも袴なんて着たことなかったから着ることにしようと村田とともにおれの部屋へ向かった。
着付けをしているさなか、おれは何かがおかしいことに気づき始めた。着付けが終わったおれは鏡を見るなり愕然とした…
おれが村田に実際に着せられたのは男物の着物…つまり袴ではなく、………女物の着物である振り袖だったのだ。