キース受け小説01
□take by force.(※)
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「マードック大佐、先月の報告書を提出するようにと元老院から…」
「ああ、分かっているから下がれ」
終わらない仕事にうんざりしながら部下に返事をする軍人は眼鏡を外し、眉間に指を当てて深く息を吐いていた。
どういうわけか先日から急激に大量の雑務を回されるようになり、外に出ることもままならなくなっていた彼は、書類の山に囲まれる日々を過ごしていた。
そんな中、ふと久しく会っていない恋人が思い浮かぶ。
『グレイブ……愛して、いるから…』
目を閉じれば、いつも待ち兼ねた様子でベッドに誘うその姿が鮮明に蘇るような気がして。
「そろそろ、抱きに行ってやらないとな」
きっと寂しくしているだろうと思いながら、とりあえず今日の仕事を済ませてしまおうと、再び眼鏡を掛け直してペンを握る。だがそれと同時にドアが開かれ、一人の男が踏み入ってきた。
「貴様がグレイブ・マードックか?」
「…元老殿が、私などに何の用ですか?」
ずかずかと机の前に近付いてくるのは、パルテノン元老のアドス。顔だけ知っている程度の彼が何故直接自分のところへやってくるのかと疑問に思うも、それはすぐに驚愕へと変わる。
「アニアンは、もうお前の者にはならないぞ」